ドイツ社会は何故移民受け入れに積極的なのか

海外にルーツを持つ子ども・若者のための、専門家による日本語教育・学習支援および自立就労支援事業を行っている「YSC Global School」さんから、Twitterで面白い記事をご紹介いただいた。 ご提供いただいた記事はこちら。 www.refugee.or.jp 記事を簡単に…

「下諏訪は観光の町でしょう」という誤り

しばしば町外の方から、表題のような言葉をいただくことがある。 町民の方も多くは同じような認識でいるのではないだろうか。 観光収支は以下の通り。 観光業からの税収と行政による税金を財源とした設備投資の額では、後者の方が圧倒的に上回っている。 <…

観光振興がなぜ「まちづくり」の中心になってしまうのか

下諏訪町で「まちづくり」というと、なぜ観光振興になってしまうのかずっと不思議に思っていた。近年はこれが「移住定住」に置き換わりつつあるが、基本的なことは何も変わっていない。 行政が投じた莫大な税金は、ほとんど経済効果がなかった。にもかかわら…

下諏訪みらい塾第1回 講座

住民企画による「下諏訪みらい塾」講座の第1回に出席した。 内容及び感想は下記の通り。なお、私も企画に参加している。 日時 2021年12月26日(日)15:00から 講師 小倉美恵子(「諏訪式」著者) 演題 「諏訪式。」〜来たり人の目を、心を開く…

下諏訪町の所得はこの10年でどう変化したか

平成後期、下諏訪町は大きく衰退した。 それは肌感覚でなんとなく感じている方はいると思うが、実際数字として知っている方はどのくらいいるのだろうか。 諏訪地方統計要覧などで工業出荷額などを見るとよくわかるが、今回は所得の面から見てみたいと思う。 …

箱物行政は何が問題なのか

地方自治体が不要不急の施設をつくる余裕はすでになくなっている。 しかしながら、いまだに一部の市町村はその箱物作りをやめない。この数年、景気対策や国土強靭化などの名目で多額の箱物予算がばらまかれたことも、そのことを後押しした。 箱物は何か実績…

選択的夫婦別姓賛成論

選択的夫婦別姓制度とは、希望する人に別姓のまま結婚できるようにする制度です。ご存知かどうかわかりませんが、離婚時には自由に姓が選べます。それと全く同じ趣旨の制度です。これについていまだに根強い反対意見があるようですね。 私は行政の中の人とし…

「やさしい日本語」という概念

東海大学国際教育センター教授の加藤好崇先生による外国人観光客への対応についての本。インバウンドが休止している昨今、勉強しておきたいと考えて読んでみた。 www.e-hon.ne.jp そもそも「やさしい日本語」は公的機関では常識でなければならないが、このレ…

コロナ禍の最初の1年を下諏訪町民はどう生きたのか(没原稿)

各市町村とも決算議会の時期となった。 税務部門は最も端的に住民の生活を明らかにする所得情報を持っている。今回の議会は「コロナ最初の1年(令和2年)の所得状況」を発表する最大の機会だ。 給与所得をコロナ前の1年(令和1年)と比較することで、一…

私が経済を中心に社会を見るということ

私は時々経済やお金の動きを軸に社会を見ようとしている。 人の善意や悪意を信じないわけではないが、基本的には利益をもたらす方により多くの人が動くと思うからだ。 とは言え、大学に入るまでは典型的な書生型の発想法だった。社会的に正しいとされる方向…

攻撃行動とは

怒りに任せてフェイスブックやツイッターに書き散らしてしまうことがある私だが、別に反省していないわけではない。今日はYoutubeでこんな動画を見かけた。 www.youtube.com 動画の内容を簡単にまとめるとこんな感じ。 「攻撃研究」という分野がある。 攻撃…

アメリカという国について

11の国のアメリカ史 www.e-hon.ne.jp 読書を再開する。 私は「アメリカ合衆国」という国からずっと目を背けてきた。大学受験の失敗(と言って良いと思う)でメインストリームから外れたことが直接のきっかけだったと思うが、もともと多くの人が注目しない…

旅立ちの日

「さくら」という名前は、日本人女性の代表的な名前の一つだと思う。日本人の間では女の子に花の名前をつけることは、一般的なことだった。 若い頃、知人の女性で「さくらさん」という方がいた。 どうしてそんな話になったのか忘れてしまったが、私はその方…

アルバイト時代のこと

最近取り留めもなく、バイト時代のことを思い出す。 大学を卒業し公務員試験に全て落ちたことによっていわゆる「無職」になった。 池袋のハローワークに通いながらできるバイトは、日雇いか夜のバイトだけだ。 日雇いは物流会社の新宿営業所だった。再開発に…

外国人スタッフ受入準備資料

自分の中国語と英語トレーニングを兼ねて日本語支援ボランティアをやっている。 先日、ある在住外国人の方から「勤務先で配られて資料がよく理解できないので教えて欲しい」と要請があり、表題の内容の社内資料を見せてもらって解説した。 率直に言ってなか…

未来と過去とをつなぐ、なくてはならないもの

www.iwanami.co.jp ミヒャエル・エンデの「モモ」を再読した。以前読んだのは小学校の頃だっただろうか?どんな話だったかもよく覚えていないくらい昔だ。ただ、その時はただの冒険物語の1つとしか理解できなかったと思う。 今となってみれば様々な暗喩に気…

周辺市町村との比較のおかしさ

どんな自治体でも大抵同じだと思うが、何かの基準を決める際には周辺の市町村との比較を行う。議会質問でも定番の質問である。 諏訪地方の場合は「6市町村」という言い方がある。諏訪盆地に位置していると諏訪の人々が考えている6つの市町村のことだ。 何…

神戸震災日記読了

週末は日本語ボランティアなどでバタバタしたが、仕事の繁忙期前になんとか読み終えることができた。(こんな薄い本を読み終えるのに何日もかかってしまった。学生の頃の私が知ったら信じられないだろう) www.shinchosha.co.jp 備忘録的にいくつか書き留め…

あの日から四半世紀

www.kinokuniya.co.jp 諸事情あったお借りしたこの本を読んでいる。 1995年の1月17日だから、もう25年以上が経っている。 30歳くらいまでの人は記憶もないだろう。歴史の教科書に載るようになってしまった。 奇妙な使命感に突き動かされて田中氏…

長所が短所に変わる時

組織が致命的なことになるのは、その長所が短所に変わる時なのかもしれない。 前職時代に、多くの会社の危機を見てそんなことを考えていた。 多くの会社組織では数値目標を設定し、それを実現するために必要な投資を行いアクションを起こす(そもそも数値目…

今年「語り」の場を地域で作っていこうと思っている。 この10年くらい、まちづくりの現場を遠くから眺めていた。 「個人情報に関わる部署に配属されてしまい、中に入って活動がしにくくなってしまった」と言うのが理由の一つだが、見ていてずっと思っていた…

学校をブラックから解放する

honto.jp 同書は変形労働時間制の導入前に執筆された。私が買ったのは一昨年の6月。現状を打開しようと考え、まずは状況を俯瞰しようと何冊かの本を読もうとした。その目論見はそれ以前にあっさりと押しつぶされてしまった。あれほど追い詰められている人た…

日本社会の特徴と過去を教訓とすることについて

ようやく読み終わりそうだ。 www.shinchosha.co.jp 国民健康保険制度のはじまりは戦前だったことを、どれだけの人が知っているだろう。もちろん財政体力が列強より劣る日本が「国民のため」だけで行ったはずはなく、軍事力強化の理由もあった。 「陸軍は農村…

諸外国では歴史はどのように教えられているか

大学で履修した科目の中に、諸外国でどのように歴史が教えられているかという科目があった。ブックオフでこの本を見つけた時、とっさに買ってしまった。 イギリスの歴史教科書を日本語に翻訳した本である。 「イギリスは植民地主義を謝罪しない」と言い張る…

「自民党を支持するわけではないけれど」

立場上、政治的中立性を問われるのだが、社会矛盾の最前線に立つ一員として、危機感や問題意識を持つことは一方で必要なことだと思う。 その際、しばしば「自民党を支持するわけではないけれど、野党がダメだから自民党に投票する」という言葉に出会うことが…

三澤勝衛先生について

ひょんなことからとなり町での読書会に参加させていただくこととなった。 今回の本は「諏訪式。」という長野県諏訪地方を取材して書かれた本である。諏訪出身の人物を紹介しつつ、風土にも言及している。 取材した際のキーマンのせいか、私の知る諏訪地方と…

「本と市民」

高校の友人から勧めを受けて読み始め、とうとう最後まで通読してしまった。 日野市図書館の前川元館長と図書館員たちが切り開いた「日本図書館の夜明け」の物語、と言ってしまったら言い過ぎだろうか。 図書館についての考え方がよくわかった一冊でもあった…

政策のバランス

駒ヶ根市議の池田さんの連投。撲殺事件からご自身が従事してきたホームレス支援の経験から、周囲が何ができるかまで言及されている。 今回の女性野宿者の撲殺事件について、周りにいる困っている人にどう声をかけたらいいかを知りたい方が多いことが分かりま…

観光業とは何か

「観光地」「旅行」って、そもそも何なんでしょうね。この事業において。さらに、この事業の目的って何なんでしょうね。私は、常に、この「そもそも」が大事だと思っています。今、我々が見失ないがち、というか混沌としている社会があるなら、常に立ち戻り…

谷川俊太郎とI先生の思い出

小学校3年生の時の担任のI先生は、型破りな人だった。 毎日書かされていた日記を廃止し、代わりに私たちに毎日詩を書かせた。 そして手書きの学級通信に良い詩を一つ取り上げ、詩評を書いてくれた。私のような成績の良い子の詩はあまり取り上げられなかった…