周辺市町村との比較のおかしさ

どんな自治体でも大抵同じだと思うが、何かの基準を決める際には周辺の市町村との比較を行う。議会質問でも定番の質問である。

 

諏訪地方の場合は「6市町村」という言い方がある。諏訪盆地に位置していると諏訪の人々が考えている6つの市町村のことだ。

何かにつけて「6市町村の平均では」「各6市町村では」といった言葉が庁舎内で聞かれる。

 

けれども、何かおかしくないか。

 

6市町村とも行政は決してうまくいっていない。

衰退している。

 

衰退している自治体と比較しあい、より衰退したいのだろうか。

諏訪地方では茅野市が良い施策を持っているように思えるが、人口構成が若いという背景もある。真似するコストは高すぎるし、実際無意味だろう。

 

「6市町村」比較の無意味さについてもう1点。諏訪地方特有の問題だ。

そもそも茅野市、原村、富士見町は諏訪湖周辺とはいえない。八ヶ岳の麓に広がる山梨は東部信州の自治体に似た条件を持っている。広大な遊休地や農地を転用した宅地化が山麓沿いに進み、人口が自然に増える要件を持っている。人口の郊外化は高齢化とともに公共交通機関のさらなる充実が求められるだろう。

一方で諏訪湖の周辺にある岡谷市諏訪市下諏訪町はどうか。開発可能な土地は限られ、中心市街地の空き家化が止まらない。課題も求められている施策も全く異なっている。

 

そのような自治体同士比較して何の意味があるのだろうか。

みんな一緒に心中したいのだろうか。

 

国民健康保険の特定健康診査では、「県内同規模自治体」との比較指標がある。

それですら人口、産業構成の点が加味されていない。視野を広げて、他県や海外の事例をなぜ研究しようとしないのだろうか。

いつも疑問に思う。