放送大学「教育社会学概論」第8章 学校教員についての章

放送大学テキスト「教育社会学概論」を読んでいる。 第8章「教師ー聖職という桎梏」に書かれていたことで閉口したことがあった。 教師又は先生の仕事内容は、あまりに身近に感じている人が多い。だから自明のことだと考えている、という内容がある。ここで…

村上さんとの思い出

参加させていただいている岡谷市で行われている書評会「岡谷で読み紡ぐ会」の次回テーマ本は浦野理一氏についての本である。着物に詳しい方なら知らない人はいないだろう。「ミセス」で着物についての連載をもち、着物界のリーダーの1人だった。 浦野理一氏…

満洲分村移民を拒否した村長

「満洲分村移民を拒否した村長 佐々木忠綱の生き方と信念」という本がある。著者は大日方悦夫さんという方だ。 12月初めに下諏訪国際交流協会の講演会でお話をお伺いすることができた。 日本人の多くは「旧満州」あるいは「満州」と呼ぶ。中国語では「偽満…

小松直人さんに会ってきたお話

下諏訪町で「ミスター御柱」といえば、現下諏訪観光案内所長の小松直人さんだ。小松さんは28歳から8回にわたって御柱に奉仕されている。 今日、松本大学で教鞭を取られる木下巨一先生(地域文化論)のご依頼により、学生さんのインタビューに同行する機会…

今の学校はいかにして「学校」になったのか

「学校ってなに?教育の歴史から学ぶ」(大阪商業大学教授 宮坂朋幸先生) 下諏訪公民館(10月、11月)2回連続講座に出席した。 冒頭、先生から「歴史を学ぶ」「歴史から学ぶ」のお話があった。「歴史から学ぶ」とは、何を学ぶのか。歴史を学ぶのは、歴…

一貫性理論の陥穽

荻上チキさんによる「一貫性理論」についての簡単な説明。 www.youtube.com 一貫していないものを気持ち悪く感じる心理。 小さなものに同意すると、理論が一貫していればより大きな行動に同意してしまう。 一貫していないものは居心地が悪くなる。心理の奥深…

中国語の宿題のために「君たちはどう生きるか」について再作文

中国語の作文の宿題(自由テーマ)のために、例の映画について書いて見ることにした。言いたいことが複雑なので、まずは日本語の原稿を作ってみたが、せっかく書いたのでブログにアップしておく。 <ここから> 多くの人は自分の子に、世界を俯瞰して主体的…

「イスラームからヨーロッパをみる」(内藤政典著)でイスラムの勉強

www.e-hon.ne.jp 本の要旨をまとめる。感想や補足は所々に( )で書くこととする。 ヨーロッパのムスリム(イスラム教徒)を概観した専門家による本をずっと読みたかった。 外国人労働者受け入れ反対論者の中にいる著名人の多くは、欧州のイスラム受け入れに…

君たちはどう生きるか(小説と映画、漫画の感想)

今日参加する予定の読書会で話してみる予定の内容をメモしておく。 映画での導き手役として登場した青鷺。主人公の日常を切り裂くように登場し、何を考えているかわからない美しさがあった。 しかし、乱暴で陰湿で、狡賢くもあった。確かに自分自身を導くも…

映画「君たちはどう生きるか」(ネタバレ)

仕事終わりに映画を観てきた。 以下、ネタバレあり。気になる方は読まないでください。 思いついたところを書いておく。 ストーリーは思春期の主人公の成長期でもある。 最初はまるで敵のような青鷺に導かれ、あちらの世の中に踏み入れる。青鷺は何の象徴だ…

保険証廃止で現場はどんな困難を抱えるのか

保険証を廃止し、個人番号カード(マイナンバーカード)に統合することを国が推進している。ネット上には感情的な反発と反発への反発が見られるが、保険証を扱う人々の声がほとんど無視されている。私は保険証行政に7年以上関わった実務者の立場から、今回…

是枝監督「怪物」を観てきた話

参加している岡谷市の読書会でイベント形式での書評会があり、今回はこの映画とノベライズ本がテーマとなった。あまりたくさん映画を見る方ではないが観ざるを得ない機会を作ってもらえるのが「読書会」のとても良いところである。 事前に評判を一切見なかっ…

信州大学公開講座 比較憲法 第三回「家族の形を比較する」

今回のテーマは家族。同性婚の問題を通して現代における家族の意義を考えさせられる内容だった。日本においては先日、同性婚の問題に対して岸田総理は「社会が変わってしまう」と発言して物議を醸した。 日本では21世紀に入り3つの地裁判決が出ている。 (1)…

信州大学公開講座歴史学ー金(きん)ー

テーマを金とした講座の第三回目に出席した。 今回の時代はマルコポーロ「東方見聞録」が書かれた鎌倉時代。さぞや金銀の話がたくさん出てくるかと思いきや、、、さっぱりだった。 この時代の代表的な文化財の多くには金銀が使われていない。 愛媛県の大山祇…

「団地と共生」柴園団地自治会事務局長2000日の記録

団地と共生 -- 芝園団地自治会事務局長 二〇〇〇日の記録 (論創ノンフィクション 029) 作者:岡﨑広樹 論創ノンフィクション Amazon GWの読書のために買っておいた本だが、結局連休明けに読むことになった。 芝園団地自治会事務局長の岡崎広樹さんの著書。 私…

信州大学公開講座「比較憲法」5月20日受講記録

今年度も信州大学公開講座の比較憲法学(小池先生)を履修したのでメモ。 昨年度は帝国憲法と新憲法の「縦の比較」を扱った。新憲法は旧憲法期の失敗をどのように生かそうとしたかを学んだ。 今年度は小池先生の専門により近い諸外国憲法との比較。 比較憲法…

信州大学公開講座1「金」

信州大学公開講座「土曜市民教養教室」に今年も出席している。 今回も中国語中級はなし。そのため、いつもの憲法学に加えて今年は歴史学を履修することとした。 歴史学は日本史における「金(きん)」がテーマ。担当の田村先生のご専門が金融、消費者、経済…

連休中の日経記事から

連休前と連休中に買った日経記事に「熟練外国人現場の中核に」として、在留資格の「特定技能」制度が拡充されるというニュースが取り上げられていた。経済新聞の記事であることから、人権という切り口ではなく「雇用、人手不足」という視点から記事はまとめ…

「リスキリング」と地域社会

3月27日の日経トップに「リカードの矛盾を超えて」という記事があった。記事を要約する。 公務員試験ではお馴染みのイギリスの経済学者リカードが19世紀に唱えた「比較優位」説は自由貿易がなぜ富の増大をもたらすのかを端的に説明したものだった。より得意…

4月前半の日本経済新聞から

4日の記事 1)こども家庭庁本格稼働の記事。筆者はダイバーシティエディターの天野氏。 各省庁に分散していた子ども関連の施策を統合するのがこの組織の狙い。他省庁に勧告する権限がある。 同時に施行された「こども基本法」は国や自治体の関連政策に子ど…

外国籍住民はいかにしてこの街を「ふるさと」と思うのかという問題

www.e-hon.ne.jp 同書はイラン出身のナディによる、日本にやってきた在住外国籍住民について、当事者目線によって書かれた本である。 「不法滞在の外国人」と聞いて、多くの日本人は顔をしかめるだろう。 この本の著者はそんな「外国人」として両親に連れら…

つながる沖縄近現代史第15章「繰り返す沖縄ブームと基地問題」

www.e-hon.ne.jp 少し間が空いてしまったが、沖縄に関する勉強のための読書を続けたい。 第15章には冷戦後の90年代以降の沖縄社会について、沖縄ブームと基地問題の噴出、助け合いの文化の衰退などがまとめられている。簡単にまとめておきたい。 90年…

日経新聞3月20日記事から

時々日経をスーパーで買って読んでいる。毎日読む時間はないので週1回くらい不定期で買って熟読するのがちょうど良い気がする。ネット記事にはないニュースが出ているので、新聞は紙で買って読むのが本当は一番なのだろう。 以下、20日月曜日経から。各記…

「ネガティブ・ケイパビリティ」とは

本日の学び。 ja.wikipedia.org 要するに、「わからないことはとりあえずわからないままにしておく力」と言うことで良いのだろうか。心理的にタフでないとできない気がする。 最近、なんでも結論を出せるような気がしている。 間違いなく「思い上がり期」に…

河北日報のスクープ記事を見つけた。 「地方自治体」などと言いながら、次々と国から新規制度、事業が降ってくる。遠くない将来、私たちの市町村行政は名実ともに国の下請機関になるのだろう。昨今は予算ばかりか、人手も足りなくなりつつある。 その結果、…

南相馬市からの若者たちへのメッセージ

福島県の南相馬市が若者向けのポスターを作成し、市内に掲示しているとのこと。ポスターの趣旨が他の市町村と異なり、話題となっている。 www.city.minamisoma.lg.jp ほとんどの市町村が「いかに若者を外に出さないか」「出ていったらいかに帰って来させるか…

下諏訪みらい塾まとめレポート作成にあたり

先ほどから「下諏訪みらい塾」の若者インタビューを行ったグループのまとめレポートを作成している。元々私がこのグループへの参加を決めたのは若者の移住について問題意識を持ったからであった。短時間であったが率直な話し合いの中で、彼らが将来の夢や希…

www.tokyo-np.co.jp 東京新聞の記事をツイッターでシェアしたところ、面白いリプライをいただいて考えさせられた。 地方に住んでいる私にしてみれば東京は日本一人材が豊富なはずなのに(良い人材はすぐに東京に流出してしまう)、なぜ都知事、区長はこのよ…

移住定住について本を読んでみた

honto.jp 昨年から参加している下諏訪町公民館の「下諏訪みらい塾」で、私のグループは今年は若者インタビューをおこなっている。そのまとめを行うために、移住定住について少し勉強してみようと思った。 著者の藻谷ゆかりご主人はまちづくりなどで著名な方…

宗教が異なるということ

急激に円安が進行したとはいえ、多くの外国人の方が日本に仕事をしにくる時代は当面続きそうだ。 これまで日本に渡ってきた韓国、ベトナム、中国、ブラジルの国々の方々との間に宗教的差異からくるトラブルはそれほど多くはなかった。無論、なかったわけでは…