諸外国では歴史はどのように教えられているか

大学で履修した科目の中に、諸外国でどのように歴史が教えられているかという科目があった。ブックオフでこの本を見つけた時、とっさに買ってしまった。

イギリスの歴史教科書を日本語に翻訳した本である。

「イギリスは植民地主義を謝罪しない」と言い張る人々は、同書を手にとってみるべきだと思う。中学校の歴史教科書の大半が植民地主義の残したものについて取り扱っている。

とりわけ、インド支配の失敗は大きく取り扱われている。

「ガンディー派の一人として、当時の総督に手紙を書いてみよう」というアクティビティが設定されている。イギリスはインド支配の正当性を失ったこと、だが相手はそれなりの地位のある人物であるから、書き出しを気をつけないと無視されてしまうといこと、などを考え合わせて書かせるような仕組みになっている。次のページではアムリットサル虐殺が取り上げられ、その責任者がどのような罪で処罰されたかが2ページにわたって書かれている。ガンディーがどのような人物で、何を主張したのか。何に着目してイギリスと戦ったのかなど、インド側の視点も取り入れている。

インドの人々からは不十分に見えるかもしれないが、外国人の私からは謝罪して誤魔化そうという姿勢が感じられない。

 

このほか、アメリカ植民地で起きたことや、アフリカ、中東の3枚舌外交をどのように正当化しようとしてどのような結果を招いたかなどにも大きく章が割かれている。

個人的には「ベナンの頭像はいったい誰が所有すべきか」というイギリスの博物館の所蔵品についての言及から始まるアフリカの歴史は大変考えさせられる内容だった。反乱を起こした人々を宗主国の法律で裁くことの意味などは、植民地主義の根幹に関わることだと思う。

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とはいえ、アジア人の一人としてはアヘン戦争は取り上げて欲しかった。