インドと南アジア

現代南アジアの政治 (放送大学教材)

現代南アジアの政治 (放送大学教材)

インドとはどんな国なのだろうか。
諸事情あってインドの社会に興味を持った。

日本において南アジアの情報は少ない。今世紀中には中国と並ぶ二大大国となるインドがあるにもかかわらずである。私自身、教科書に学んだ以上のことをよく知らない。

そこで早速いつもの「放送大学テキスト」でインドについてのテキストを探した。インドだけ学んでも周辺国との関係性が理解できなければわからないと思うので、南アジア全体の歴史を扱った同書を選んだ。

南アジア史の概略を掴むために、同書は4層に分けて解説している。
第1層はインダス文明から紀元前5世紀の仏教、ジャイナ教が生まれ、ヒンドゥー教が出現して最初の統一帝国、マウリア朝が樹立されるまで。
第2層はイスラーム時代。8世紀のイスラームの伝播とともに仏教はインドからは一旦姿を消す。イスラームムガル帝国樹立によって、政治と密接に結びつく。
第3層はイギリス植民地時代。イギリスの統治は社会インフラを残したが、イスラームヒンドゥーの分割統治をするなど、インド社会に深刻な禍根を残すことになった。
第4層は独立後のインド。また、80年代を前後に異なる様相を呈している。

南アジア史を非常に簡単に学んだだけでも、幾つかのことに気がつくことができた。日本の植民地統治により台湾や韓国に社会インフラを残した。しかし、インドのように社会に深刻な禍根を残すことはなかったか?そのことを問う意見を日本ではあまり見ない。

80年代以降の中国とインドの経済開発政策の違いについて。インドは「世界最大の民主国」として、あくまで議会制民主主義による合意形成による方針決定を行うこととしている。中国は周知の通り、日本型をより極端にした開発独裁方式である。目下のところ、中国方式の方が結果を出している。
この項を読んで思い出したのは、ミャンマーのアウンサン氏による経済開発の成否である。私はインドの挑戦を知るまで、アウンサン氏は失敗すると思っていた。しかし、インドのような別の方式があることを知って、大変興味が湧いてきた。
同書を引き続き読み進めていきたい。