東海大学国際教育センター教授の加藤好崇先生による外国人観光客への対応についての本。インバウンドが休止している昨今、勉強しておきたいと考えて読んでみた。
そもそも「やさしい日本語」は公的機関では常識でなければならないが、このレベルは自治体によって大きく違う。接客業でもそうであって欲しいが、なかなか難しい。
同書はコロナ前に書かれた物であり、インバウンドが上り調子だった時である。観光業の対応がコロナ後も同じで良いとは思えないが、コミュニケーションという点においては共通することがあるのではないかと考えて読んでみることとした。
同書内には外国人慣れしていない人が起こしがちな誤解が幾つか挙げられている。
1 「外国人」への思い込み
(1)英語圏でない外国人がいることを知ろう
来日観光客の大半は英語圏ではない。
(2)簡単な日本語の方が良いこともある
2008年の在留外国人への調査で約40%が英語ができると回答したが、62%が日本語ができると答えた
(3)「日本語は難しい」という思い込み
日本人だけでなく、自国語を難しいと考えている人は多い。
(4)事前管理と事後管理
日本人観光客には周到に準備をし、滞りなくサービスが提供されることが最高のサービスと考えられているが、外国人の印象に残るのは問題が起きてから丁寧に対応してもらった事後の対応であることが調査などからわかっている。
2 やさしい日本語とは
(1)ことばの側面
ゆっくり明確に話す、使用する語彙を初級レベルにする、複文ではなく短文で話す、カタカナ用語は使わない、和語を選ぶ(漢語は使わない)。
「は・さ・み」(はっきり、さいごまで、みじかい)文で話すことが大切。
助詞を含め一つ一つの音をはっきり話す。遠回しな表現は使わない。
「褒めない」日本語が上手ですね、という言い方は「外国人にしては」という前提がある。
「怒らない」外国人とのコミュニケーションはさまざまな矛盾に直面するのが普通。
「直さない」相手が言い間違えてもいちいち直さない。日本人になるために日本に来ているわけではない。
「here and now」今ここにあるものを話題にする。旅館などの設備は実際に見せながら説明すると話しやすい。
(2)使い方の側面
例えばお客様に「敬語を使わない」ということが私たち日本人には難しいが、「普通の言葉で話した後に敬語で繰り返す」という風にすれば話しやすい
(3)文化的側面
布団の敷き方、温泉の入り方など文化的な物をどこまで調整するのか。調整しすぎると観光に来た意味がなくなるが、頑なに文化を押し付けてはいけない。
(4)補助ツール
ジェスチャーに慣れる。頷くのがYesとは限らない。お金の仕草が違う国があることをなどを知る。
筆記用具を活用し、地図や図を描いて説明する。
とりあえず今日はここまで。