竹島

韓国の李大統領が領有権主張のために竹島に上陸した。そして氏は天皇に謝罪要求をした。多くの日本人が竹島を意識し出し、韓国は日中の2カ国と領土争いを抱え込む事になり、2正面作戦を取ることになった。せっかく順調に増えて来た中国からの観光客や対中投資に悪影響を及ぼすだろう。

韓国の外交部がかくも拙劣であった事は、私は思いもしなかった。そしてもう一つ、天皇批判がこうも多くの日本人を不快にさせ、怒らせた事に私は驚いていた。私が驚くのだから氏はもっと驚いたのではないか。そう思えば、幾分気の毒な気もする。

国家元首が、相手国の王室を批判する事は外交儀礼上失礼にあたる」として、大統領の発言を批判する意見を見かける。しかし、そんな建前論以上に少なくない日本人が本気で怒った。このことは韓国にどう伝わっているのだろう。

この例えが適切かどうかは解らないが、米国の大統領が独立戦争までのイギリスの行いについて、イギリス女王に謝罪要求をしたら、英国人はどう感じるだろうか。あるいは以前、日本の観光客がタイの王室の尊厳を傷つけるような振る舞いをした時に、タイ人はどう反応しただろうか。王室の「尊貴さ」が理解出来ない人も、多くの人々が大切にしているものを、あのように踏みにじる行為がまともではない事は理解出来るだろう。

その事を思えば、確かに大統領の振る舞いは常軌を逸しているようにも感じられる。

しかし一方で、こうも思う。

氏の発言を聞いた日本人の中に、韓国人が植民地支配で失ったものの深刻さについて考えた人がどれだけいただろう。戦後の記憶が薄れてしまった私たち日本人には、なかなか想像がつかないかもしれない。

どうしても理解出来なければ、韓国にも王室があった事を思い出してみてはどうだろうか。世界史で習ったように、韓国の王室は日本に滅ぼされた。たしかに、当時の王族は腐りきっていたし、韓国の人民を虐げ、文明化の妨げになっていた。その意味で自業自得の面もあったかもしれない。

しかし、王室を韓国人が大切に思う気持ちは、それとは別のものだ。王室と伝統文化、国の誇り。そして何より自立心、自尊心を日本人は奪ってしまったのだ。

ひとつ、想像して見よう。
もしも、極東軍事裁判昭和天皇が引き出され、あの不公正な裁判で極刑に処されていたとしたら、私たちは連合国を今、赦しているだろうか。

もちろん、当時や現代の韓国人にとっての王室と、日本人に取っての皇室がイコールではない。しかし、考えるヒントとして、このロジックは使えるのではないか。

たびたび持ち出される従軍慰安婦問題は、表層に過ぎない。変な日本の左翼勢力の言うことを真に受けずに、韓国人が本当は何を失ったのか真剣に考えてみる時が来ているのかもしれない。

日本人が考えているより、韓国人が失った者は大きい事は間違いない。それどころか、もしかすると彼ら韓国人自身が考えるより、もっと深刻な傷を彼らは負っているのではないか。

日本の「進出」は、日本の独立を保つために仕方なかったとか、その辺りは横においておき、彼らの心情を深く理解出来るような日本人であってほしい。少なくも自分はそうありたいと思う。

今私たちは争っても、何も得るものはないのだから。