第15条 すべて公務員は全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。

 

自治体コンプライアンスの基礎 (地方自治・実務入門シリーズ)

自治体コンプライアンスの基礎 (地方自治・実務入門シリーズ)

  • 作者:岡田 博史
  • 発売日: 2017/09/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 京都市役所の岡田博史さんによる、若手から中堅職員向けにかかれた地方自治シリーズの1冊。

 

同書冒頭で指摘がある通り、コンプライアンスを単に「法令遵守」と捉えている職員は多いと思う。けれども、現実はもっと深刻だと私は考えている。

 

ルールを決めるのは国の役割と考えて、法令の解釈に疑義が生じれば国の解釈を仰ぐ風潮はなぜ生まれるのだろう。上司を説得する際に根拠として「自分はこう考えた」と言って通る組織と、通らない組織がある。地方の市町村のほとんどは後者なのではないだろうか。

それでも国の解釈に従えばまだ良い。罰則さえなければ何をしても良いと考える自治体幹部、役職者などにより、奇妙な法令解釈が行われガラパゴス法執行が行われている自治体もある。それはいうまでもなく不公正そのものであるが、バレなければ追及されることもない。

 

「役所だから法律は守っているだろう」などというのは幻想だ。

 

そのような役所の中で、職員はどうあるべきなのだろう。どのように行動すべきなのだろう。どうした考えを持っているべきなのだろうか。

 

第1章の「コンプライアンスの基礎となる視点」の中で、日本国憲法の前文を引用し公務員が全体の奉仕者であることの意味の記述がある。

 

服務の宣誓の根拠は法律と条例にある。上司からの職務命令ではない。よって、自治体の首長や上司に向かって宣誓するのではない。住民に向かって宣誓するのである。そのことに想いを致し、時には宣誓した内容を思い出し、あるべき公務員像を自覚するようにしたいものである。

 

具体的には、上長から違法な指示を受けた時どうするかだ。

経験上、抵抗しても決裁権が上にある以上無駄になる。それでも言うべきことを言えるだろうか。

そういえば憲法のこのくだりを持ち出して反論した職員が、鼻で笑われたのを見たことがある。

 

 

地方公務員法

(法令及び上司の職務上の命令に従う義務)

第32条 職員は、その職務の遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規定に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

 

 

この条文の前段に何が書いてあるのかが重要なのだが、上長に従うことが最良だと考える職員は多い。

 

そういえば、私が入庁した時「宣誓書」を書いた覚えがないが、どうだったのだろうか。

 

以降の章にも啓発されるところが多々あるが、最初の1章で引っかかってしまいなかなか先へ進めなかった。