人と人をつなげる仕事

本日図書館は休館日のため本来は休みなのだが、午後の研修に出席するため午後からは出勤となる。

 

自治体の仕事とは、制度を確実に運用していくことが第一だが、もうひとつ重要な役割がある。業務の中で人のつながり(社会)を再構築していくことだ。とはいえ、そんな仕組みは行政機構にはない。その意味では前者は行政体制の、後者は行政職員の責任だと言える。

 

地域社会は都市化が進み、つながりは希薄になっている。

とりわけ地方においては、地域からの若年人口流出によってこれまで地縁によって維持されてきた、例えば町内会の相互扶助機能などが目に見えて衰えている。

総務省や介護財源に困った厚労省などがこれまで行政が担ってきた事業を「地域で行う」異にする、などという政策をいくつも打ち上げつつある。要するに行政による業務放棄(作文言葉では「選択と集中」という)だが、そんな都合の良い「地域」なんて存在しない。

 

地方自治体、基礎自治体は特に人のつながりを再構築して、コミュニティを再編する役割を持っていると思う。民間企業ではできないからだ。地縁血縁からネットワーク的なコミュニティの構築を側面的に支援するのが役割になる。

行政に転職してから、ずっとそのことを頭に置いて仕事をしてきた。

学校教育の現場に直接関わる部署でそれを実践できなかったことが本当に悔やまれるが、新任地の図書館においてもその仕事は変わっていないはずだと思う。

図書館でどんな人のつながりを構築できるのだろう。

 

しばしば基礎自治体の選挙などで「産業の再生」「移住の促進」「子育て政策の充実」などを公約に掲げる例を見かける。しかし、そのどれもが現実的ではない。

 

再生しようにも、小規模自治体レベルでは産業政策のオプションには限りがありすぎるし、移住のように他の自治体から住民を奪ってくる政策には限度がある。

 

子育て政策の充実は必要なことだが、多くの自治体では「人口増」の幻想に囚われ「今困っている家庭を支援」することと「これから子どもを産むカップルへの支援」をすることを混同している。そもそも困っている家庭を把握するのはよほど積極的な意思を持った職員を配置しなければできないだろう。

 

安易な自己責任論によらず、現に困りごとのある家庭を支援することが、労働市場に人を送り出すことができることの最も現実的な方法であり、どこかの街から人口を奪ってくる相互の叩き合いよりも良い方法であると私は考えている。