部署横断的なサポート体制の構築をいかにすべきか

 

月刊ガバナンス 2020年 11 月号 [雑誌]

月刊ガバナンス 2020年 11 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/10/30
  • メディア: 雑誌
 

 今月号は「地域共生社会」。

いわゆる8050問題などに代表される「困りごと」相談のうち、困難案件についての相談対応は複数の部署にまたがることが多い。

記事にもある通り、福祉だけの視点で解決を図るのではなく、断らない相談支援、参加支援、地域づくりを視野に入れた支援が重要となる。この分野を得意としてきた私には、大変興味深い記事だった。

茨城県東海村座間市の先進的な事例が紹介されているが、ほとんどの自治体でこうした案件への対策は職員の個人的資質にかかっているのではないか。解決されずに長年放置された案件が、職員の着任で解決に向かうことがある。離任で逆戻りしてしまうことがある。

複数部署に掛け合って解決を図ろうとする職員に向かって「あなたの担当ではないだろう」「お前が最後まで責任を持て」と足を引っ張る職員も多い。それどころか「そんなことは求められていない」などと一蹴する幹部までいる。このような困難案件は関わらない方が短期的には利益になるからだ。

しかし、長期的かつ街全体の利益を考えれば正面から解決を目指した方が良いことは明らかだ。本来ならばそうした部門へ人材や予算を多く配置すべきなのだが、イベントや箱物のような人気施策に人員を割くために、こうした「正面から受け止める」職員は、厄介者扱いされることもある。

座間市では副市長をトップとする委員会の専門部会により部を超えた全庁的な取り組みをするような仕掛けを作り、前線の職員を支えているという。窓口職員は非正規職員であることも多く、待遇の改善なども必要だ。

人口減少社会を迎え、1人でも多くの地域の人々の暮らしを長期的な改善につなげていくことが重要だ。

首長の資質が問われるところではあるが、こうした事情を承知した上で首長になる人物は少なく、就任後に知ったところで反応の鈍い人もいる。

 

制度を主旨通りに機能させるためには、部署の横断が必要だ。

どうすれば良いのだろう。