土地や建物の利活用において、行政は何をなすべきなのか

諏訪市東洋バルヴ跡地の利活用について、市民の公聴会のようなものがあったらしい。

様々な意見が出たようだが、やはり箱物づくりの提案が出てしまったようだ。

隣の市のことではあるが、あの場所は諏訪地方の中心地になり得る位置にある。合併しなかったので下諏訪町岡谷市の住民は口が出せないが、慎重に検討してもらいたいと考えざるを得ない。

 

ちなみに私は公園一択だと考えている。

「お金を生む施設を」などという考えは間違いだと思う。

そもそも行政がその意図で箱物を作って、経済効果を本当に生んでいるものが日本のどこかにあるのだろうか。寡聞にして知らない。

 

そもそも今後、あらゆる需要は先細りする。市が自ら施設を作ってしまい、需要を食ってしまうようなことは絶対に避けなくてはならない。

 

では、なぜ「公園」なのか。

公園で景観が改善すれば周辺の空き地や空き店舗にカフェやレストラン、自然に商店などができるだろう。諏訪市長から諏訪市内の空き家率についての報告があったそうだが、今後この数値は改善すると思う人はいないだろう。誰がどう考えても悪化するのだ。

空き店舗、空き家の状況は現状よりさらに悪化する。その流れを止めることはできない。だが、緩やかにすることが出来るのではないか、というのが「公園」案である。

 

市自らが公共施設を作り、税金を垂れ流した挙句わずかばかり残った需要を食いつぶしてしまうのではなく、周囲で商売ができるようになるような自然の経済の流れを作る。それこそが行政の仕事だと私は考えている。

 

河川と諏訪湖沿いに親水性の高い公園を作ることは十分可能だ。

 

箱物論の中には、工業メッセをあくまで開催し続けたいという意向があるようだが、代替施設や場所がないかよく検討してもらいたい。今後いくらでも空き箱は出てくるのだから。

 

あの場所に大きな集客施設を作り、仮に成功したとしよう。

確実に湖畔の渋滞は悪化する。

昨今の観光客は「快さ」を求めるように変わりつつある。いや、もう変わってしまっている。観光客の高齢化の中で、この流れは止まらないだろう。渋滞は「不快」要素である。

渋滞を悪化させることになれば、湖岸のホテルの迷惑であるだけでなく、諏訪赤十字病院や警察署といった緊急施設の運営の邪魔にもなる。

「人口が増える」「需要は(税金で)作れる」などと言う妄想は捨てなければならないが、諏訪の人々はこのような時、たいてい判断を誤る。周囲の需要を食いつぶし、財源を蕩尽する未来しか見えない。

 

「公と民で役割を分担して」など、失敗をごまかす時に作文に使えそうな言葉が飛び交ったそうだが、事業の正当性のアリバイづくりにばかり気を取られ、結局何が大事なのか忘れているのではないか。