共生社会と自治体の不安〜19年入管法改正

ガバナンス2018年2月号120ページに労働ジャーナリストの金子雅臣氏の記事がある。

記事はある市役所の職員たちのぼやきのような内容になっている。

 

入管法改正で新たな在留資格が来月からできることになった。

言語化日本語教育の充実などの支援策が合わせて施行されるが、これまで市区町村に丸投げされていたこともあり、在住外国籍住民対応の施策は自治体ごとバラバラだった。

全く対応のない市区町村にとっては朗報だろう。

しかし、これまで何らかの取り組みをしてきた市町村にとっては、従来施策との整合性をどうするのかが問題になる、という内容。

 

国は、全国100箇所に「ワンストップセンター」を作るというが、市レベルが実施してきた事業は全部中止する必要があるのだろうか。すでに外国籍住民を雇用したり、事業者へ委託するなどして真面目に対応してきた市役所は、雇用を継続する意味を失い、長年かけて育成してきた事業者との関係性を破棄しなければならなくなるかもしれない。

 

これまで国が表立って動かなかったのは、外国籍住民対応を後回しにしてきたというだけではなく、努力している市区町村への配慮もあっただろう。国が逆落としに政策を強要すれば、今回のような事態になることは明白だからだ。

 

国の対策はいまだにはっきりしないことから、新年度予算には反映できなかった。

それなのに4月から新制度が成立してしまう。

 

記事中、起きそうな問題として例示されているのは生活習慣の違いからくる住民同士のトラブルもあるが、災害対応についてが特に強調されている。

英語表記ばかりであり、その英語表記も統一性を欠いている。

県などで指針を作って統一を始めた矢先に、国から大岩を上から投げ落とされることになった格好である。

 

技術的な問題は数え上げればきりがない。

しかし、国は外国籍住民を真に受け入れる体制も心構えもないままに、制度だけを先行させてしまったことは、ここに記録しておきたい。