放送大学「韓国朝鮮の歴史」

韓国朝鮮の歴史 (放送大学教材)

韓国朝鮮の歴史 (放送大学教材)

朝鮮時代後期の社会の章を読んでみた。

 日本同様士農工商のような身分制度があったが、科挙の受験資格で良民と賤民と分けられ、試験に受からなければ政治に参加できなかった。士族と一般良民にしか受験資格がなく、朝鮮時代後期には身分制度が固定していた。士族の多くが地主層となり、儒学を修めることで社会の指導的地位にいた。
韓国社会に現在も残る氏族制度は、高麗時代から基礎が形成されていたが、朝鮮時代中期に本格的に構築されたものである。複数の氏族が集住する農村のことを「集姓村」と呼ぶ。高麗時代あるいはそれ以前に始祖の本拠地であった邑を本貫と呼ぶ。
 こうした社会は派閥争いにより政権主導権が移動する傾向がある。朝鮮においても儒学などで権威のあった李退渓、李栗谷の指導を受けた弟子たちがそれぞれ「東人」と「西人」の二派に分かれ争った。長所についてはテキストでは述べられていないが、弊害として秀吉侵攻時に西人と東人を正史と副史としたことから、実態の解明より両派の争いの方を優先し、優越した東人の安全論が通ってしまったことから大惨事を招いた。

社会の固定化は派閥争いを警戒すべきである。それ以外に政権交代の方法が無い場合は、特にその傾向がある。
本章を読んで今後考察を進めたいと考えているのは以下の2点。

1)今日の韓国の大統領制は、派閥争いの危険を回避するためのものだろうか。
2)中国の官僚制による政治指導体制にも、派閥の強弱が事実認識の正否より優越することがあるのだろうか。
今後ニュースなどを見る際に注目したい。