婚活支援事業について

フォーラム現代社会学 第9号(2010)

フォーラム現代社会学 第9号(2010)

現代日本社会における「近代家族の揺らぎ」と親密制の変容」ー「婦人公論」における独身・非婚をめぐる言説からー 桶川泰

最近すっかり話題にならなくなった「婚活支援事業」について参考になりそうな部分があるので抜粋しておく。


落合恵美子「みんなが結婚して2、3人の子どもがいる家庭を作り(再生産平等主義)女性が主婦の役割を引き受ける(女性の主婦化)という現象が戦後において登場して来る事を指摘し、近代家族が大衆化していくこと(家族の戦後体制)を論じている。70年代に解体し始める。

「家族の個人化」(未婚者、同棲カップル、事実婚)は増大しているが、これについての考察はあまりされていない。研究事例はあるが(善積京子)積極的に非婚を選択している人はどれだけいるのだろうか。

江原由美子「結婚に対する志向のあり方が<社会>本意的な「正ー邪」判断よりも<自己>本意的な「利ー害」判断に変容している(「規範的なものでなくなりつつある」)」

結婚の再帰的問い直しという観点からは、非婚化というデータが無くても非婚を肯定的に捉える声が出 bv事自体が重要。

婦人公論」の記事からテーマを選ぶことにしたのは、創刊当時から女性解放のオピニオンリーダーであり、既存の親密性や生き方に疑問を投げかけていたから(ただし、部数の多い大衆紙は他にもあり影響力は限定的だと言う所は認めつつも)

50年代 家族の戦後体制への批判
「人間は結婚生活によっていろいろの社会的幸福は得られる、しかしその半面、人間としては幾多の犠牲を払わなければならない」
「結婚生活に入らなかったのは、選択の自由を多いに発揮して、自分の両親に忠実だったから」

(独身女性に対する定言はあっても、男性に対しては少ない)

適齢期については、生殖に適する年齢に対する批判がくりかえされている。


70年代以降 コミュニケーションコミットメントを志向する関係性が新しい関係性として出現する。
「本当の恋愛=結婚したい気持ち」「夫、妻の役割を果たす事が愛情の証」「夫、妻の役割を果たす事が愛情の証」という「近代的恋愛」が問い直されている。

80年代 法的認知は必要か
生殖の問題よりも、取り残される不安を鎮める言説が増える。

90年代 シングルネットワークを逓減する声が少なくなる。
家族変容後も関係性維持のためのノウハウ提供記事も登場する。
近代家族否定により親密な絆を喪失するのではないかとの不安に答える形の記事が増える。