自殺率について

学生の頃の専門は社会学だった。私の頃は判で押したように「古典」を読まされたが、そのうちの一つにデュルケームの「自殺論」がある。自殺率の動向を社会的要因から分析しようとしたものである。

Twitter と自殺について (内田樹の研究室)
http://blog.tatsuru.com/2010/02/13_1714.php

戦後の自殺率の上り下がりを内田先生が分析している。
戦後3番目のピークを迎えつつある日本の自殺率。1年間で約3万人が自殺している。小さな町がまるまるそっくり亡くなるくらいの数だ。

もう一つ言えることがあるとしたら、それはバブル崩壊以降、日本社会はゆっくりと非活動的なものになりつつあるということである。

こう感じている人は大勢いるのではないか。
そして、

日本社会は流動性を失って、硬直化を始めている。強者たちは連合して既得権を死守し、一方、弱者は分断され、原子化した状態で、階層下位に釘付けにされている。おそらくそのような状況の中で、特定の社会集団(若く、貧しく、孤立した人々)の生命力が衰微しつつあるのだと思う。

内田先生は「ソリューション」として解決策を2つ提示している。

一つは、地縁的・血縁的な共同体(ゲマインシャフト)を再構築すること。孤立した人々を受け容れ、癒し、慰め、彼らが自尊感情を保持できるような場を作り出すことである。

一つは、「誰にでも、成功のチャンスがある」ように、階層的な流動性を担保することである。ただし、そのためには強者は「強者たちの氏族」の形成を自制し、階級的に独占している権益の一部を投じて、社会的弱者のプロモーションを支援しなければならない。

以上、私が言いたいようなことを専門家がまとめると、こんなにもシンプルにまとまると言う例。