自民党も民主党も実は同じだった

最近話題にならなくなった後期高齢者医療制度の話。

 おさらいしよう。
 平成20年、マスコミの感情的な批判に慌てた自民党議員たちは「官僚が勝手にやったことだ」と逃げた。選挙の都合で政局化した挙げ句、初年度8000億円の血税を投入し、いきなり「高齢者にも応分の負担を」という制度の主旨を骨抜きにした。小学校単位の説明会を選挙前までにやるように、という指導を市町村にするなどして不公正な選挙運動をしたくせに、肝心の自分たちは大敗を喫すると言う実に情けない事態となった。

 一方の民主党自民党のこの情けなさを批判するのではなく、「年齢で区切ることが悪い」と制度を否定し、新制度を作ろうとしている。

事の本質は制度の可否ではなく、高齢者の医療費の捻出方法だ。

(1)若い人が多く負担するか
(2)高齢者にも負担してもらうか

この二つを同バランス取るのかが問われているはずなのだ。

にもかかわらず、民主党後期高齢者医療制度を「年齢で区切るのは非人間的」という、マスコミが主張する所の「高齢者の意見」に煽られて、本質から全く外れた所で検討をしながらこれを変えようとしている。

両党とも議論の本質から大きく外れている。

が、一つ面白いことがある。

両党とも「若者に多く負担させる」という意見で一致しているのだ。

ただその手法が違うだけだ。
自民党は既存制度を骨抜きにして、税金を投入することで若者に負担させようとしている。平成20年度、マスコミの主張する所の「高齢者の反発」にビビって8000億円の血税を投入し、「保険料を軽減するから次回の選挙でよろしくね」などと主張した。そのため、多くの高齢者に「バカにするな」と却って怒りを買った。

民主党は制度そのものを変えることによって若者に負担させようとしている。新制度案では以前のように高齢者も社会保険の扶養につけることが出来ることだ。扶養になった高齢者は保険料をはらわなくてすむ。ということは、彼らが支払わない分若者が払うと言うことだ。

これは改革とは言わない。「改革を取りやめる」ということではないのか。


もう一度整理してみる。
この問題の本質は年齢で区切ることではない。保険の名称でももちろんない。年金天引きでもない。

高齢者の医療費を払える体制を作ることだ。
それなのに、両党は何をしているんだ?

要は、誰も高齢者のことなんか考えていない。
負担する若者のことなど、もっと考えていないのだ。