放送大学「市民生活における社会保険」第7章から介護保険の意義

以下学習記録。

市民生活における社会保険 (放送大学教材)

市民生活における社会保険 (放送大学教材)

要介護認定により、(1)保険給付が行われる保険事故であるかどうか(2)どの程度の給付が行われるべきか、が決定される。考え方は「労働者災害補償保険制度」「雇用保険制度」に近い。
介護保険は利用者がサービス提供事業者と契約締結することで保険給付が行われる。医療保険は必ずしもサービスの提供を前提としていない。サービス提供の際の問題点などについてケアマネージャーが助言する点が特徴。医療保険では、その注射を受けるとどういう問題が生じるかなどは、当事者の医師が自ら説明する以外に方法がない。

サービス提供事業者は、指定を受ける必要がある。株式会社、NPOなども参入可能。医療法人しか認めない医療保険とは異なる。事業者の情報公開や、第三者評価制度を実施するところも特徴。

介護保険が変えたこと
「措置」として高齢者介護サービスを行政が決めていた時代には、利用者の意思が反映されなかったことから、サービス受給が受身になっていた。生きがいを持って暮らすためには、当人がどんなサービスを受けたいのか、という意思を尊重する必要があることから、介護保険では自ら選択できるようになったことがひとつの特徴といわれる。しかし、実際には素人が自分にどんな介護が必要かなど、自ら選べるのだろうか。そのためケアマネージャーなどがアドバイスする制度が整備されている・・・と、いうが、本当にそれだけで大丈夫なのだろうか。ケアマネージャーの力量、というか現場にあまりにも頼りすぎている気もする。もっとも、他に方法を思いつかないが。

事業者へ直接1割が支払われるため、サービス内容に関心が高まった。介護保険制度により、サービス提供元に競争が生まれた。一方でモラルの低下が懸念されている。

居宅介護に専門家が関与する機会が増えている。新たなニーズの掘り起こしを行ってしまった側面もある。また、利用者にも最近は介護保険以前の状態を知る者が少なく、保険負担や利用料の負担の高低ばかりを見て、本質を理解できない者があまりに多い。これらの利用者や利用者家族の無理解は、現場職員に重くのしかかっているのではないか。