高速道料金体系の変更について

麻生政権で「高速休日1,000円」が実施された。ところが制度変更後未だ日の浅いにもかかわらず、また変更がなされようとしている。

http://www.jiji.com/jc/v?p=ve_pol_seisaku-unyu20100409j-04-w530&rel=y&g=pol

 どちらが良いか私は判断する資料を持たない。いや、誰も持っていないだろう。国交省ですら、マクロ的な経済指標はあったとしても、個々の業界の損得まではわからないだろう。そういえば、大敗前の自民党議員においては、フェリーへの影響を失念していたことが明るみに出るような仰天発言があったことを私は記憶している。ゴジラに踏みつぶされたフェリー業界。問題は、ゴジラは映画だが、フェリー業界は血の通った人間だということだ。

 そもそも、当初期待された観光業の振興につながったのだろうか。おそらく検証はされていないだろう。仮に数字が出てきたとしても、冷静に考えれば精度の甘い数字だろう。数字の積算の仕方を考えれば、それは容易に想像がつく。

思いつく限りわが町下諏訪町への影響について、論点になりそうなことを書いてみる。面倒なので、観光業に絞る。

(問題点1)来客増か、増収なのか、収益が増えたのか
ひとつめは、1000円化によって来客が増加したか、収益が増加したかという問題についてである。

私の住む下諏訪町は、1000円の影響で休日マイカーが非常に目に見えて増えた。そのことで商店の売り上げが増えたかどうかは、決算期を待たなければはっきりはわからない。この町の対前月比は気候や行事(今年は大きな祭事があった)の影響があるからである。

しかし、仮に増収となったからといって、客単価が増えていなければ増益にはなりにくいだろう。以下、机上の論理であることを承知で仮説をたててみる。
客単価1000円の客を100人さばくのに1人必要であるとする。客単価が1000円のまま200人になれば、2人必要という計算になる。業種によっては実際は2人必要でないかもしれないし、あるいは3人必要かもしれない。
もし増益となっていれば話は別だ。客単価2000円の客を100人さばくのには、元の1人でなんとかなるはずだからだ。

高速1000円が客数を増やしたのは間違いなかろう。ただ、上記の説が正しければ、単純に客数が増えたのではコスト増になるということになる。
注目すべきは客数よりも利益率ということになる。1000円に交通費が減ったから、その分買うものを増やしただろうか?直感的にそれほどでもないような気がする。今度観光業者さんたちに聞いてみることにしよう。

コスト増になれば、業界にとってはあまりうまみがないだろう。雇用的には良いのだろうが、果たして計算通りいくのか。下諏訪町のようなインフラ面での弱小観光地においては、オーバーキャパの問題もある。過剰に設備を回転させると、施設の寿命が早く来る。全体的に投下資本あたりは高くついているわが町において、単純な来客増加は吉と出るか、凶と出るか。

(問題点2)観光事業者は増えるか?
制度の頻繁な変更の弊害について批判する意見をあまり見かけない。実経済への悪影響は、料金の額だけではない。コロコロ変わる不安定な制度もその一つだ。

観光客が増え、仮に事業機会が増えたとしよう。今年度の様子を見て来年度新規出店を考えた人がいたとする。ところが、民主党になったとたん高速料金が変更になり、観光客数がどうやら変動しそうな雰囲気である。

こんなことがしばしば行われるところで、まともな人間が出店を考えるだろうか?観光業はただでさえリスキーな分野である。例えば、茅野市ビーナスライン沿いは、観光客目当ての出店がしばしば行われるが、多くが撤退廃業している。その原因は、1年のうちの増減の激しさに雇用や設備の維持が非常に難しいことと、多年度にわたった場合、景況によって観光客入込数が安定しないからである。

そもそも観光業とはそういう分野なのである。その中で経営の現場は非常な困難の中で事業を行っている。高速料金をいじることによって、また入込数が変動する。コロコロ変えられては設備投資はおろか、新規雇用や設備の更新も危なくてできない。正直やってられないのではないか?

だれか何とか言ってやってくれないかな。