現代環境法の諸相

現代環境法の諸相 (放送大学教材)

現代環境法の諸相 (放送大学教材)



諏訪地方でもゴミ排出の有料化がようやく検討され始めた。少し勉強しておく事にした。

放送大学 北村喜宣

第5章環境法政策の基本的考え方
環境責任のあり方

「法原則」は、原則に反するものを違法とできるが、 この分野には未だ無い。「考え方」があるだけなので、当不当の問題があるに過ぎない。「考え方」の内容と具体化の程度を良く見極め、シンボリズムに惑わされない目を持ちたい。

汚染側に規制が課されるのが一般的である。しかし、汚染側に金銭を支払い、汚染をやめてもらうと言う考え方もある。こうした考え方は「正義の感覚」に反する事から、社会的に受け入れられにくいし、影響行為を法律で一律規制した方がコストが低くすむため、汚染者に負担を課すのが一般的である。


汚染者支払い原則(PPP)Polluter-Pays-Principle
環境政策の国際経済面に関する、ガイディング・プリンシプルについてのOECD理事会勧告」(1970)による。
発祥は罰則的な考え方ではなく、むしろ国際貿易における不公平の防止のためであった。
もしも、汚染企業に政府が補助金を出してやめさせれば、その分汚染企業が有利になることになる。そこで、OECDでは汚染企業に補助金を出す事はやめよう、という合意が成立した。
(1)外部不経済(環境汚染)を自己負担により内部経済化すること
(2)当該社会的費用は政府が負担するのではなく、関連企業が負担すること


OECDでは、原状復帰費用や被害者救済費用については中立的であったが、我が国においては被害者対応責任(民放的不法行為)も含めて認識されている。但し、個人の権益の侵害にならない場合は、民放的な不法行為は成立しにくいことから、OECD的解釈もされている。
中央公害対策審議会(1976)によれば、全てが企業負担に帰すべきとはしていない。緊急性、ナショナルミニマムの達成、汚染者不明や無資力、適切な再分配型課金システムが整備されるなどの条件を満たせば、公費負担も認められる。


拡大生産社責任(EPR)Extended Producer Responsibility
廃棄物、リサイクル法制においては、直接の排出者だけでなく、製造関係会社全てが責任を負うと言う考え方。製品をライフサイクルからとらえ、制度の運用上は実施可能性などから実際的に運用される事が多い。
循環基本法(2000)