若い同僚の祖母が無くなった。あっという間だったと言う。同居していたとのこと。ちょっとしんどいんじゃないか、そんな風に勝手に想像していた。
今日、偶然同僚と顔をあわせる機会があった。
型通りのお悔やみを言ったあとで、何か気の聞いたことのひとつも言えないか、思いを巡らせた。しかし、言葉が出てこなかった。
そういえば、私は身内の不幸に遭ったことが無い。身内の突然の死に接して、人がどう思うのか想像が出来ない。
学生の頃、友人が突然他界したことを思い出した。
友人と言っても、それほど親しかったわけではない。ただ、毎日会っている人が突然姿を消した。彼女の死を信じることが出来ず、涙も出なかった。葬式と埋葬が終わっても、実感がわかなかった。
今も実感がわかない。
実感がわかないまま、彼女のことを忘れようとしている。昔の友達の顔を忘れるように。
それでも、命日の5月には彼女の墓の前を通ることにしている。
あれからもう、20年以上がたった。
葬式の日、お父様が彼女のノートだか、日記だかのはしっこに書いてあった走り書きを紹介してくれた。
たしか、世界の人たちが、みんな仲良くできればいいのに、というような言葉だったと思う。
その言葉だけは一生忘れないでいようとおもう。