モスのレタス

 てりやきチキンに入っているパリっとしたレタスが好きだ。
 いつも「あおあお」としていて、気持ちがいい。

 学生の頃、彼女と時々アパートの近くのモスで食事をした。茗荷谷だったとおもうけれど、どうもうまく思い出せない。

 就職活動がうまくいった報告を受けたのも同じモスだった。リクルートスーツの彼女が、内定がとれない私に気を遣いながら、その日の面接官との必死のやりとりを話してくれたのを覚えている。数日後、彼女は内定通知を受け取った。

 春が来て私は就職浪人が決定した。彼女は1,2ヶ月の研修の後、大塚の町を去った。最後に彼女に会ったのも、いつものモスだった。その後、彼女には会っていない。


 1年後、私は郷里に帰って小さな会社に就職した。

 先日、外回りの仕事があって昼食をモスで取った。いつものパリっとしたレタス。
 彼女との最後の日、目にしみるような青葉が窓から見えていたことを思い出した。



(モスの紙敷きに「モスと私」みたいなショートエッセイがあった。対抗して書いてみたが、ううむ。なかなか難しい。)