1000円のゴールデンウィークについて

普段高速にのらない人が大勢のっていると思われる高速に、やむを得ずのるハメになった。普段なら渋滞していない時間、路線が混んでいた。一方で、普段渋滞していそうな路線がすいていた。サービスエリアは深夜でもいっぱいだった。旅館代をけちって寝ている人がたくさんいたからだ。はじき出された長距離トラックが、サービスエリアの出口の路肩に数珠つなぎになって休息を取っていた。

気づいたことを羅列してみる。

(1)お願いですから上り坂ではアクセルを多めに踏んでください。あなたは上りはじめは100キロでしたが、坂の一番上では60キロでした。
(2)渋滞したときは最後尾の人はハザードをたくんです。あなたが追突されるのは自由ですが、追突する人と、玉突きに巻き込まれる人のことを考えてください。
(3)自分が追い越しをかけられていることに早く気づいてください。車の真横は死角です。教習所で習いましたよね?
(4)走行車線は60キロ、追い越し車線は150キロ。普通に巡航しているいつもの常連さんが困っています。特にお仕事中のトラックのみなさんが。ここはあなたがいつもはしっている国道ではありません。サーキットでもありません。
(5)トラックの周りにまとわりつかないでください。あなたは行楽中かもしれませんが、トラックの皆さんはお仕事中なのです。急いでいる営業車には道をあけてください。一定スピードでガソリン消費を抑えながら走っているトラックの邪魔をしないでください。
(6)「この先サービスエリア混雑中」の電光掲示板に驚いて、追い越し車線に飛び出してくるのはやめてください。あなたの後ろの人たちがびっくりしています。
(7)都会から来た方へ。ここは首都高ではありません。わずかな隙間にわりこまないでください。急にブレーキを踏まないでください。田舎の人は、そういうのに慣れていません。

こんなことをずっと続けるのだろうか。しばらくすれば安定してくるのだろうか。事故が起きないのが不思議だ。警察も気が気ではないだろう。死亡事故が起きたら、麻生総理は責任を取るんだろうか・・・とらないよな、やっぱり。



そもそも、高速を値下げする必要がよくわからない。「欧米は高速は無料だ(安い)」などという人がいるが、日本の高速はあちらのようにじゃんじゃん走れるような作りをしていないのだ。山を縫い、川を渡り、結構危なくできている。交通量を増やせばどうなるかわからないのだろうか。

この値下げで地方の観光が潤うと思い込んでいる政治家たちは、商売のことがよくわかっていないのだ。多くの町は観光だけでは生きていけない。なぜなら、観光にはオフシーズンがある。1年周期で波があっては、持続可能なまちづくりは多くの場合困難だ。オフの間その土地の人はどうやって飯を食えばいいのだ?観光は一部の京都や奈良のようなスーパーヘビー級を除いて、ほとんどの地域ではプラスアルファにすぎないと考えるべきだ。さもなければ、長浜のようになってしまうだろう。

また、値下げしたり、タダにしたりすることはやめてもらいたい。客層が悪くなるからだ。客単価も落ちる。そして、無料や値下げで来る人の中には、人の町へ下足であがりこむような人が多い。いや、普段は良い人も、獣性がむくむくとあたまをもたげ、イナゴやバッタのような客になってしまうと思う。よりよい町をつくりたいのであれば、そういう人には来てもらわなくていい。1,000円の旅行者がみんなそうだとは言っているわけではない。だが、悪貨は良貨を駆逐するものだ。

1,000円は通常なら大きな社会実験になるかもしれない。しかし、今回はそうではない。露骨な自民党公明党の金権選挙の一環に見えてしょうがない。なんと醜く、情けない国だろう。そんな風にしか思えないこの政策はやはり支持できない。



しかしながら、ガソリンスタンドが儲かったのは良かったと思う。
全国の観光地の皆さん、連休はあと少しだ。体をこわさないように、がんばってもらいたい。