「看護師は今」(中日新聞)

中日新聞が看護師についての特集を組んでいた。コメディカルの不足は日本の医療危機の一つの側面である。

気がついたところだけ書き抜いておく。

(1)看護職員は55万人が潜在化しており、77.6%が復職を希望している。

(2)家事、育児との両立が問題となっている。離職理由のトップは「妊娠出産」「結婚」が多い。

(3)世界的に見て病床100あたり日本は66.8人。英国、米国は330人超。

(4)有資格者は国家資格看護師と都道府県資格看護師の合計で98年は103万人だったのが、06年には126万弱に増えている。一方で需給バランスは需要138万人にたいし、供給は135万人。ここ数年、3万人程度の不足が続いている。

(5)需要も急激に伸びている。06年の需要は130万人超。10年見通しは140万人超。

(6)離職率は12.4%、新卒者離職率は9.2%。都会は多い。

(7)専門職化が求められているが、研修体制は十分ではない。

(8)男性看護師はいまだに5%しかいない。

(9)診療報酬改定で看護師の争奪戦が起こり、大病院に看護師が集中して地方は深刻な不足に陥った。


以下考察。
高齢化の進む中、患者一人あたりの相手をする時間が延びている可能性もある。正直言って、年寄りの話は長い。年齢のせいで仕方ない部分もあるが、周囲が見えていない部分もある。大勢待っているのに延々としゃべりだす高齢者をよく見かける。「もうたまらん」という顔をしようものなら、切れる人もいる。テレビしか見ていないから、病院は悪の巣窟だと思っているのかもしれない。

外国人看護師を輸入するよりも、復職を促せる体制作りが急務だ。外国人看護師を呼んだところで、彼らだって結婚したり妊娠したりすればやめざるを得ないからだ。

未だ医師の補助程度の認識しか得られていない。医師の中にもそういう人が多いように思う。科学的に患者を支援するこの技術者を再生することが医療危機を切り抜ける一つの方法であることは疑いはない。

選挙のために自民党が、「定額給付金」としてばらまいた2兆円はここへ突っ込むべきだった。

もしも選挙公約に「市立病院のコメディカルを増やすために予算を1億円増額する。その代わり支所と観光イベントはすべて廃止し、行政職員を削減する」と掲げる市長候補者がいたとしても、誰も支持しないと思う。病院は病気になるまでは関わりのないところだし、マスコミと一緒に叩いていればそっちの方が楽だからだ。