昨年から参加している下諏訪の将来について考える公民館講座「下諏訪みらい塾」の中間報告会が9月18日に行われた。
今年度は大きく分けて2つのグループに別れて活動している。1つは街のファシリティなどについて実際に歩いて課題を考えたり、空き家問題を考えるグループ。もう1つは私の所属する「子ども若者グループ」である。
今回、子ども若者グループの発表を私が行ったので、その概要をとりあえず記録しておきたい。
人口減少のうち「社会減」に注目し、特に下諏訪(諏訪地方)を離れてしまう若者に対して何か手立てはないものか、という問題意識からこのグループはできた。しかし、最初のグループのディスカッションで「確かに若者には帰ってきほしいが、一方で夢や希望を実現するために巣立っていくというなら、それを止めることはできない」という意見で全員一致した。
そのため「できれば帰ってきてほしいので、帰ってくるための障害になっていることはなんだろう」という疑問を若者へのインタビューを行うことによって明らかにしていこうということになった。
8月に行った3人の若者(大学生2人、高校生1人)へのインタビューについてまとめ、簡単に報告した。
1 インタビューから気づいたこと
(1)不安に思っていることについて
- コロナによる人の交流制限が、若い人の交流を妨げている
- 3人とも情報不足を不安に思っていた
- 就職、進学などの情報提供機会を求める強い声があった
(2)Uターン志向の有無について
- 仕事があれば戻って来てもいい考えている
- 最初から域外への就職を考えていない人もいた
- 性別に関係があるか?大学の専門に関係はありそう
(3)Uターンを阻むものは?
- 帰省期間と地元の人脈づくりに関係があるか?
- 帰省期間とアルバイトの可否に関係がある人がいる
(4)地域に望むもの、施設
- 駅近くに自由に座って話せる場所が欲しい(例:諏訪市「すわっチャオ」)
- 大規模な娯楽施設などの希望は年齢による?
高校生は近隣地域の商業施設の店舗の内容について意見を話してくれたが、大学生は必ずしも大規模な商業施設がこのまちに必要だとは考えていなかった。「下諏訪町に必要なものは、下諏訪町がどのようなまちづくりをしたいのかにかかっているのでは」という意見もあった。
- 性別で望むものは変わるのか?
全員女性だったことで回答が偏ったかもしれない。
- 自動車を利用するようになると意見が変わるかも
(5)インタビュアーからの意見
- 東京など、諏訪地方以外にいる若い人たちのつながりを大切にしたい。
- 若者は街に対して便利さや観光発展はあまり求めていないのでは。むしろ御柱や伝統行事、花火などの恒例行事を残し続けることが、若者が戻ってくる動機の一つになるのではないか?
- 帰省時に作られる人的ネットワークに注目したい。休み中の短期アルバイトの有無は鍵の一つになるか?
- 下諏訪にいる保護者、家族は若者をつなぐキーマンになり得るか?
- 帰郷には仕事(就業先)が鍵になる。そもそも企業の情報発信や受け入れ体制はどうなのだろうか。
(6)今後のグループの活動について
- 個別のインタビューは行政アンケートとは違った角度からの話が聞き出せる。有効性が確認できた。
- 現役の学生へのインタビューは続けたい
- 現在、すでにIターン、Uターンで就職している人に話を聞いても良いのでは
- 地元高校生や家族にも話を聞いてみたい
- 企業はどう思っているのか聞いてみたい。
報告内容は以上。
これに対して以下の意見が塾生から出された。
- 成人式でアンケートを実施してみては
- 「学生激励事業」の送付物資にアンケートを同封するなどはできるかも
- アンケートにはGoogleアンケートを活用してみては
- インタビュー形式だけではなく、若い人だけでブレスト形式で話してもらうことも考えてみては
- 親の面倒を見ることについて不安はないか聞いてもよかったのでは
- 地元の企業がどう考えているか、企業にもインタビューしてみては
- 起業するという方法もあるのでは、と投げかけてみては
以上
さまざまなご意見をいただいたが、大規模アンケートはすでに行政が実施しているため、個人的にはインタビューに力を入れた方が良いような気がする。だが、Googleアンケートのようなツールを使用してのアンケートは手軽にできるので、やってみても良いかもしれない。
また、3人の学生と話していて思ったのは、個別に抱えている進路希望の助けになることを、個別に支援していくことができるのではないか。「映像系の仕事がしたい」という人がいたが、私ならば地元のテレビ局の知人を紹介し、仕事の様子を話してもらう場を作ることも可能だ。
学生やUターンを考える人たちのために個別に最適化した「なんでも相談」を受けるコーディネート活動があれば、結構な確率でUターンを実現できるのではないか。金銭的な移住インセンティブ施策で若者を取り合うより、余程現実的で有益なのではないか。
と、思いついてみたが体がいくつあっても足りない気がしてきた。