不惑の歳が近づく日に

10年前の自分を思い出す。
大学を卒業して就職に失敗。1年のニート生活を経て都落ちし、小さな経済団体にようやく就職を決めたとろだったと思う。就職氷河期の初期、新卒採用に乗り損ねると、どんなアルバイトをしても、どんな資格を持っていても「未経験の無業者」扱いをされる、そんな時代だった。

その頃には自分のやりたい事がおぼろげながら見えてきていたが、就職はまったく異なる世界だった。それでも貧困生活から脱却できた事にひとまず安心し、とりあえず決まった仕事を一生懸命やろう、と考えつつも、本当にサラリーマンが勤まるのかとても不安だったのを覚えている。

だから、最初の1、2年は夢中だった。今から思えば、理不尽な叱責を受けても(田舎の会社は理不尽な事がとても多い)自分が悪いのだと本当に思い、改善を本気で考えてきた。3、4年目になって初めてこの仕事では自分のやりたい事は出来ない事を悟った。

地方ではパイが少ないため、転職に失敗する可能性が非常に高い事から、地域活動の中で実現していく道を選んだ。そこで会った多くの人が、現在の自分を作っていると思う。しかし一方で、不本意ながらやった仕事も多いに役に立っている。中小企業の経営者と多く会う仕事であったことから、ちょっとくらい偉ぶったひと相手にも恐縮しなくて住むようになったし、何より会社の経営の中身や様々な業界の事がわかるようになった事は、今の私のものの考え方に大きく影響している。


今年、学校を卒業した人たち、あるいは卒業後就職に失敗したり、これから失業するだろう人たちは、私などより遥かに厳しい状況にいると思う。しかし、それだけに私の頃より遥かに優秀で現実的な能力を身につけている事と思う。

そう言う人に出会うと、つい余計なお節介を焼いてしまう。時には嫌われたりもする。
けれども私は思う。何をしていいかわからなかったら、とりあえず歩き出してみるべきだと。歩き出せば大勢の人に出会うし、中にはあなたに重要な示唆を与えてくれる人もいるかもしれない。