年金

市民生活における社会保険 (放送大学教材)

市民生活における社会保険 (放送大学教材)

退職後の生活を維持するためには貯蓄をして備える。自分が何歳まで生きられるのかはわからない。長命しすぎると、蓄えた分では足りなくなる。長生きは予想できないため、年金により保険をかける事に合理性が生まれる。

私的年金保険は永続する保障が無く、長期的リスクに備えるには向かない。そこで、多くの国では強制加入の公的年金制度が整備されている。
強制加入にすることで加入者を増やし、低所得者層にも入り易い保険料を実現できる。積み立て方式にする事で、加入者に支持が得られ易い。


当初は完全積み立て方式で始まった年金制度は、経済成長に伴い段階的に保険料を引き上げる段階保険料方式に移行する。インフレによって貨幣価値が下落する事が懸念されると、積み立てを大量に残す事に経済合理性が無くなるため、賦課方式閉校する事になる。

積み立て方式は人々の理解を得易いが、貨幣価値の変動に弱い。変動した分は現役世代に負担を求めざるを得ず、賦課方式と結局は同じ事になる。しかし、賦課方式は人口構成の変動に弱いという欠点を持つ。