高齢者にも嫌われた自民、公明のバラマキ政治

後期高齢者医療制度で自らの支持基盤に嫌われた自民党。保険制度への支持を回復しようと必死だが、何かやればやるほど信用を損ない、怒りを買っている。
 例えば、国や市町村の担当者をたたいては説明をさせたり保険料を下げたりしては、却って高齢者を怒らせたり、途方に暮れさせたりしている。
 一番呆れるのは、両党の政治家たちは未だにその事に気付かない。最早、末期としか言いようが無い。

 国や市町村の予算を使って自民党公明党が保険料を安くすることは、多くの人の目に「高齢者に札束を撒いて票を買収しようとしている」としか映らない。

 なるほど、確かに自民党は金権選挙をやってきた。例えば、田中角栄などはその代表格だと思われている。しかし田中角栄は自己保身のために金権選挙をやったのだろうか?選挙で負けそうだから公共事業をばらまいたのか?高度経済成長期に、日本のインフラ整備が必要だという信念の基にやったのではないか。だから、地方の高齢者は支持したのだ。あの時代の人たちと、二世、三世のあなたたちと一緒にしないでもらいたい。高齢者がそんな事もわからないと思っているのだろうか。

 マスコミ対策のまずさも際立った。
 マスコミからは、毎度おなじみ、相変わらずのヒステリックな批判があがった。マスコミがろくでもない事はさておくとして、有効な反論も出来なかったのは、間抜けとしか言いようが無い。当初、マスコミは勉強不足で誤った報道も多かった。隙はあったのだ。戦えば勝てたのに、戦おうともせず、逃げに徹し、保険料を下げる(金をばらまく)ことで支持だけは取り付けようとした。

 マスコミがヒステリーを起こすことは予想できたはずだ。まさか「大歓迎」するとでも思ったのか?おばかなテレビや新聞の謝った「論説」を叩きつぶす事も出来ないくせに、与党面をしないでもらいたい。マスコミに勤めているのは若い人が多い。将来の医療の問題など、大半は関心が無いのだ。そういう連中に医療問題を理解させるのは、とても難しいのだ。そんなこと、最初からわかっていただろう。何故もっと早く教育しておかなかったのだ?そんなだらしない与党を高齢者が支持すると思っているのか?

 最悪なのは、バラマキの眼目であるところの、保険料の減免だ。
 実質は月あたり数百円から数千円下がっただけであり、その替わりに複雑な制度をさらに複雑にする事にしかならなかった。下げると言うから、どのくらい下がるかと思ったら、高齢者の信頼を失った上に、呆れられたように思う。こう言ってはなんだが、二世三世議員どもは、子どもの小遣い程度で大人の票が買えると思ったのか?

 それどころか、減免で保険料額が変わり、天引きが解除され、被害を被った高齢者も多かった。
年金から順調に天引きになって一安心していたのに、本人の与り知らない所で勝手に解除され、知らないうちに保険料の納付書がおくられていて、気がついたら督促書をもらう羽目になった人が大勢いた。新聞には豊島区役所に殺到した高齢者の姿が掲載されていたが、高齢者には気の毒だが、最早お笑いとしか言いようが無い。

 度重なる保険料の減免措置や、高齢者独特の所得額の変動(生命保険の満期などの一時所得や、世帯主などの所得変動)の対象に引っかかり、何度も納付書が送られてきて、自分の本当の保険料がどれなのかさっぱりわからなくなっている高齢者が大勢いるが、知っているのだろうか。「所得」「保険料納付」の構造の意味が分からない人に、政策決定に関わって欲しくない。

 「市町村や広域連合の責任不足だ」と言わんばかりの両党と厚生労働省だが、市町村の担当者たちは馬鹿はお前たちだと思っていると思う。そもそも、自民党を支持してきた地方の高齢者の多くは、国よりも近場の市町村にこそ帰属感を持っている。市町村に充分な予算措置をした、などと国は言うが、予算を使うにも市町村の税金がかかるのだ。そんな事が高齢者にわからないと思っているのか?
 そもそも、自分や地域の友人の孫かもしれない担当者たちが、自民党の人を馬鹿にした札束バラマキの割を食って悲鳴を上げているのを見て、高齢者はどうおもうだろうか。少しは想像してみたらどうだ。

 日本の医療制度の将来は、非常に危機的である。制度を支える資金収入も、体制もなっていない。しかし、最大の危機は、この時期に改革を担当する政権政党が、何かするたびに信用を損ない続けていると言う事だ。

 日本の高齢者の一部を「後期」と名付けた自民党公明党に、「後期連立政権」の名を贈ろう。

 お願いだから、早く選挙をやって、退場して欲しい。
 無論、民主党にも出来るとは思わないが、「お前たちは要らない」と高齢者はメッセージを送るべきだろう。