怒りの正体<後期高齢者医療制度

後期高齢の年金天引きが口座引き落としに変えられるようになっていたが、その際についていた条件が撤廃された。あの騒ぎは一体なんだったんだろう。

ある95歳のAさんがやってきて、役所から届いたその通知を読んで欲しいと頼まれた。
読んでみて文章がややこしいが、制度がややこしいからだと気付いた。普通の高齢者には理解が難しいだろう。

辛抱強く説明して、なんとかAさんに理解してもらえたようだ。

Aさんは謝しつつ、こんな事を言った。

「何か変更がある度に、難しい役所からの通知を読んでは不安になり、電話をしなくてはいけない。何かの申請が必要になったからと言って窓口に呼びつけられる。なんとか君たち若い人の間で話し合って、私たちが窓口に呼びつけられたりしなくてもいい方法を考えてはもらえないか」


まったくその通りである。


自民党公明党は保険料を安くすれば高齢者が票を入れると思っている。しかし、安くした事によって高齢者がどういう目に遭っているか想像もつかないし、考えようともしないようだ。
何かの制度の適用を受けるために、「本人による申し出が必要」という条件を国のお役人が付ける事がある。考えてみれば、他人が勝手にやる訳にも行くまい。そういう条件を付けるのは志方の無い事である。

しかし、それは「地元の役所に高齢者を呼びつける」ということとイコールになる。
電話で担当の役所に(後期の場合は広域連合なのか市町村なのか、いまいちよくわかりにくい)聞こうにも、高齢者の耳では電話は不安なのだ。かといって出かけるのも大変だ。地方ならタクシーで何千円もかけて行かないといけないひともいるだろう。

自民党公明党の議員たちは、そう言う事が想像できない。想像できないのは、現実的に施策を立案する能力に欠けるという事でもある。自分たちの票のために制度をどんどん複雑化させれば、高齢者はついて行けなくなる。高齢者がついて行けない制度など、意味が無いのではないか。
もちろん、民主党共産党にそういうことが出来るとは思えない。政権の交替があっても混乱があるだけでこういう所は何も変わらないのだろう。


そういえば、本件がいよいよ高齢者にとって身近な問題となりつつあるのに、マスコミは報道を止めてしまった。この国にジャーナリストなどいないのだろう。不景気でマスコミも拝金主義者たらざるを得ないのだろう。お気の毒に。