リードタイム短縮の意義

製造業では「リードタイムの短縮」ということが昔から良く言われている。
各社とも、この不況をチャンスとして自社内の抵抗勢力のおかげで進まなかった改革に取り組んでいることと思う。

製造業改革の中で、しばしば言われるのが「リードタイム」である。ところが、多くの中小企業はリードタイムを勘違いしている。

製造を始めてから出荷までがリードタイムだと思っている。製造原価に反映されるのは、たしかにそこまでであり、工場側の言い分としてはそんなものだろう。しかし、視野を会社全体が見えるバードアイに持つと、誤りである事に気付く。

キャッシュフローの考え方からすれば、材料を仕入れて、金を払ってから商品化して販売し、入金になって次の仕入れを行うまでが「リードタイム」と考えるべきである。
リードタイムを短縮するのは、コスト削減のためだけではないからだ。製造原価をいくら下げた所で資金繰りが改善しなかったり、維持管理費が下がらなければ抜本的な解決にはなり得ない。物流コストを下げたり、ファイナンシャル部門での資金の動きを早めたり、そうした総合的な取り組みの中で、初めて本当の意味でのリードタイム短縮が成り立つ。