歌詞にこだわった歌が好きだ。90年代に思春期を通りぬけたせいか、「あなた」を歌詞中に登場させ「愛」、しかも男女間の恋愛しか語れない大人達を、本当に馬鹿だと思っていた。お前達は他に何も語るものはないのか?この万年発情期め、日本人の総バカ化を狙った陰謀だ、と、今も少し思っている。

ちなみに同名の物でとなりのトトロのものがあるが、カタカナのものは「堀下さゆり」のものである。NHKみんなのうたで紹介されていて、「え!」と思った。時々NHKは鋭いところをついてくる。解釈はいろいろできるが、30代前後の女性の気持ちを一部えぐった歌だと私は解釈した。この歌にも「あなた」的概念は出てくるが、歌っている物は男女間の恋愛と言うよりは、人生に置ける「迷い」だとおもう。最も迷っている世代として、30代初めの女性の歌だと思った。
「子どもを産め」「結婚しろ」「仕事を辞めろ」などなど、無言の、人生その物を否定されるプレッシャーと戦っている毎日から、ふと抜け出したくなる気持ちは誰にでもある。実際に抜け出してみる人もいる。誰にでも必要とされるちょっとした、小さな旅を歌詞がうまくまとめているように思う。

最後に歌詞中の主人公は自分を捉え直し、現実に帰っていく。ゆらゆら風を感じて。