TPPについて暫定まとめ

TPPについて自分の既存の知識をまとめ、疑問点を整理しておく。

米の価格維持のための減反政策により、農地は70年代344万ヘクタールから254万ヘクタールへ減少した。食料自給率の面からすれば、大きな問題である。減反政策以外に取りえる方策は何かあったのか。昭和時代には自由競争を導入すれば、山村の農業は崩壊していただろう。比較的平野部の中規模農業においても同じかもしれない。しかし、今この時点でも同じ結果になるのだろうか。

米価の安定は伝統的に日本の食料政策の重要な部分を占めてきた。江戸時代は米価が経済の基礎だったが、現在はそうではない。伝統的な思考法にとらわれている部分はないのか。

「最大の圧力団体」と目される農協の影響力は、本当に「最大」なのだろうか。何かスケープゴートにしているような気がする。農協ではなく、農家の「総意」という形で役所がまとめただけなのではないか。「農協」「自民党農政族」「農林水産省」が癒着している、という言い方をしばしば聞く。と、言うことは農協だけではなく、いくつかの政治的要素が醸成している「農家の総意」という一種の怪物が、そのような反対意見を作っているのではないか。実際のところはどうなのだろう。

自民党は農村を基盤としてきたとされる。選挙のたびに補助金の話があり、制度は複雑化と、給付拡大のベクトルを持っていた。それでも零細農家は生計を維持する所得を稼ぎ出すことができず、親の代で廃業している。そんなに農家は利益を得過ぎなのだろうか?

TPPに加入し、関税が撤廃されて安い農産物が輸入されれば、既存の農地は荒れるだろう。規模がある程度確保できる農家は、生き残りの道を探るかもしれない。荒れた農地対策と、生き残り対策の支援をするのは農協なのだろうか。県や市町村なのだろうか。「規模がある程度」というのは、いったいどの程度のことを言うのだろうか。米について言えば、先祖から受け継いでいる程度の農地では、最早成り立たないような感覚を持っているが、どうなのだろうか。


以上、疑問点を整理してみて思ったこと。
日本の富の大半は製造業が稼ぎ出しており、今後もそのようであることから、TPPに参加しないという選択肢はあり得ない。だが、担い手が著しく高齢化している地方の農村において、10年前ならばともかく、新たに生き残りをかけて戦いに挑ませるのは、かなり酷な気もする。
我々国民が自民党を選び、結果として問題を先送りしてきたことで、農家が最も痛い目に逢おうとしている、ということだろうか。