山川世界史

もういちど読む山川世界史

もういちど読む山川世界史

高校の教科書は山川ではなかった。
先生方のお考えで実教出版を使っていた。個人的には良かったと思う。
それに授業の順番も一風変わっていた。アウストラロピテクスではなく、ルネサンスから始まったのだ。
お陰で時間が足りずに近現代をすっ飛ばされずにすんだ。今でも先生方には感謝している。

最近の教科書の変わりようから、知識を少しアップデートしておく必要性を感じたので、買ってみた。大人が読むために、所々にコラムが差し挟んである。これがなかなか面白い。

テーマ名を挙げてみる。

コーヒーハウス
西欧革命の拠点となった、サロン的な「コーヒーハウス」。知識人や市民のたまり場であり、自然、意見形成の場となった。中国にも茶館があったが、そうはならなかった。何故だろう。

中華思想と欧米諸国
九跪三叩頭を強要したことが紛争の種になったと言うことだ。だが、放送大学の中国史の先生は中華思想について別の考え方を持っていた。こういう考え方の違いに気づけるところは、大人になってよかったと思える所だ。

東方問題
懐かしい。この辺りをきちんと勉強しなかったのが悔いが残る。今思えば俺の最も好きそうな分野だ。
(1)オスマン帝国のヨーロッパ支配力の弱体化
(2)帝国支配かの民族の独立
(3)列強の利害対立
世界史においては、この3つが交錯する問題の事を言う。
この中を見事に泳ぎきって、領土を大幅に削られつつも独立を保ったトルコは大した国だと思う。

観光旅行の始まり
こんな項目があったら、世界史大好きになっていただろう。
観光旅行が一般化するのは1860年代に鉄道が普及してからなのだそうだ。駅馬車では盗賊に襲われる危険があったとのことだ。ロンドン万国博覧会を見るために大勢のイギリス市民が旅行した。それに割引切符を販売して財を成したのが、トマス・クックなのだそうだ。

近代の戦争の性格
18世紀くらいから戦争が急激に大規模化する。
その理由として、地理的発見により貿易圏が拡大し、各国が重商主義政策を取るようになったことを挙げている。
そうだろうな、とは思っていたけど、こういう風にコラムでまとめられると感心する。