純愛かどうかは知らないけれど

どろんどろん話ばかりだ（笑）。
作者は書いていて病気にならなかったのか。もっと軽く生きられればいいと思うけど、まあ、世の中なんてそんなものなんだろう。

私小説だから出てくる名前は実名、実際の地名が多い。だが、リアルに感じるのは、そのせいばかりじゃなくて、登場人物を必要最小限だけど、書き込んであるからか。

人形を抱いて寝る中年の話が印象に残った。
自分とは違う世界にいる異性の目って、本当に気持ちが悪いと思う。適度に他者に無関心にならないと、おかしくなると思う。そういう感覚をキレイに写し取っているのは上手いと思う。
・・・けど、この作家少しおかしいんじゃなかろうかと心配になった。だ、大丈夫かな？

人形に転嫁したのは劣情なのか。もしそうならとてもよくわかる。狂っていく過程もずいぶん写実的に書いてある。もっとも、俺には狂っているように見えない（笑）ので、気づくのに時間がかかったが。

ただ、全体としては生々しいけど整理されて書いてあるから不潔な感じがしない。

ところで、俺は基本的に作家の人格に興味はないのだけれど、「私小説」ということなので今回はネットを検索してみた。最近トラブルがあって「私小説家廃業」を宣言。同書はその前年の作品らしい。

田口ランディの小説だったと思うけど、「物語を書く必要がない人」がいるらしい。自分自身が物語だから、ということだったかな。でも、生き方が物語みたいな人はそうでもないらしい。この作家、私小説家を「廃業」したそうだが・・・窒息しなければいいけど。

自分のことを語らないと生きていけない人っている。自分を再定義していないと、迷子になってしまうから。あ、俺のことだ（笑）。こんな風に、清潔に自分のことが話せたらいいと思う。