副題を「問われる自立と経営の意志」として、8人の知事のインタビューが掲載されている。普段市町村と住民の関係ばかり考えているが、知事の立場の場合は県民ばかりではなく国や市町村との関係も考えなければならない。大きな仕事はできるが、中間管理職のごとき苦労の絶えない職務のようだ。
(どうしてなりたがる人がいるのか私にはわからない)
トップの京都府知事の山田啓二氏が「改革はまだ終わっていない」として、現在の住民、国との関係を述べている部分は、なかなかに考えさせられた。
以下、私なりに気になった点を要約してみる。
国と地方のことを分けすぎている事は問題だ。国と地方は有機的につながっているものである。それが、「地方分権改革」で国の財務改革と混同した分権化と(要は金のかかる事は地方へ丸投げ)、地域間の能力差、特徴の違いなどを無視して輪切りされるような分権化が行われた。国や行政主導から住民自治への転換を行うのが地方分権の基本的な考え方であったにもかかわらず、単なる権限分与と財務のリストラに堕してしまった。
各地に登場した改革派知事が失脚している。これは、日本の地方が新たな段階に入った事を示しているのではないか。バブル後に既得権益層を切り崩すため、対立軸を明確にして情報公開を行い、改革を進めるために知事は大きな力を発揮した。しかし一方「改革疲れ」により人の心が荒れ、コミュニティの再編が必要になってきている。
知事には改革と修復、片手に剣、片手に鍬を持った経営的支店が必要になってきている。実に厳しい時代だ。
その他、道州制についても言及があるがそれはまた後日。
このシリーズなかなか面白い。次に読むのはは市民社会関係にしよう。
- 作者: 認定NPO法人言論NPO,工藤泰志
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