0 制度の現状
 平成8年に出来た制度で、建造物のみ先行。平成19年2月官報告示時点で6千件の登録がある。ほとんどは明治以降につくられたものであり、半数が住宅、産業遺産が多いことも特徴的。しかし、市町村により取り組みに斑があり、取り組みの無い市町村での普及が課題となっている。
1 制度の主旨
(1)背景
高度成長期における近代建築の急激な減少
(2)制度の目的
 ・歴史的建造物の把握
 ・指定制度の補完、準備行為
2 制度の特徴
 ・届出制、助言による緩やかな規制
 ・現状や所有者の変更、滅失、毀損の届出のみ
3 登録の基準(建造物)
「建築物、土木構造物及びその他の工作物で、原則として建設後50年を経過しているもので、次の各号のいずれかに該当するもの。」
(1)国土の歴史的景観に寄与しているもの
(2)造形の規範になっているもの
(3)再現する事が容易でないもの
4 優遇措置
 ・設計監理費の2分の1を国補助
 ・家屋の固定資産税を2分の1に減税
 ・相続財産評価額を10分の3控除
 ・日本政策投資銀行の低利融資
 ・地価税を2分の1に減税
 ・市町村への特別交付措置
5 想定される問題
 修理費の補助が無いため、固定資産税の減免分を充てるしか無い。保全活動を行う主体と建物の所有者が異なる場合、その合意形成が難しいと思われる。
 制度の普及には市町村の文化財行政担当者の意向が強く反映される。
6 社会的意義
(1)学術的価値、芸術的価値以外の、庶民の文化財保全を図る事により、個性あるまちづくりをハード面から支援できる。
(2)庶民の生活文化を重視し、文化財に対する認識を拡大する。
(3)登録に市民参画を募る事で、地域の担い手を視野に入れる事が出来る。あわせて、活用を含めた多様な保存方法を行う事ができる。
(4)登録により、解体する地域住民コミュニティへの地域文化の明示が可能。
→コミュニティの再生
文化財の創造的活用」「文化財の社会貢献の明示」