水ビジネスについて

世間では原発の輸出についての是非が騒がれているが、止めた方がいい気がして仕方ない。

インフラ輸出が日本人に向いていない気がするからだ。
「水ビジネス」を例にとって、考えてみる。

「水ビジネス」という言葉が聞かれるようになって久しい。成功したのだろうか?そう言う話は今のところ聞かない。
「日本の優れた浄水技術を輸出し、一儲けする」というのがこのビジネスモデルの目的である。

私はこれに対して2つの疑問を持っている。
(1)日本の水道設備はニーズに合っているか
(2)日本の水道設備は本当に優れているのか

水ビジネスと言うと、石原知事が都庁職員と電通やら博報堂やらを使って大々的に売り出すイメージがある。実際の所はどうなのだろうか。


例えば、アジアの農村部で本当に必要とされている「水ビジネス」とはこれだ↓。

中国ネットテレビ局/農村の浄水器について(動画/日本語無し)
http://sannong.cntv.cn/program/kejiyuan/20110812/110584.shtml


日本のようにどこの川にもきれいな水が多量に流れている国は少ない。その国の水道設備が、海外で役に立つのだろうか。流れて来た水を濾過するだけの設備である。一年を通じて少ない水をどうやって利用するのか、どのように家庭まで運ぶのか。経済的にも問題があり、メンテナンス業者も育っていない地方で、どのように運用するのか。

その技術を含めての輸出だと言うが、そんなノウハウは日本の水道業者にはない。

インフラとは、その国の基礎である。社会に取って本当に必要なモノを考え抜き、作り込んでいくベクトルが必要な事業である。それを、外国の政府や業者が金儲けのために替われる物だろうか。

外国業者が明治期に作った物で、何か日本の役に立った物があるだろうか。結局は自国のモノにして日本の技術者、企業や行政官が「本当に必要なモノ」を考え抜いたことがインフラ整備に成功をもたらしたのではないか。傭兵より正規軍の兵士が強い事と同じ理屈である。

結局は、箱物行政の輸出になってしまう気がする。利権は自民党のような政権と硬直化した建設業界を作ってしまうだけだ。
日本の恥部を輸出するのは止めた方が良いと思う。

衰退し始めた日本は、どこかにお金のなる木があるのではないか、という宝探しの夢を追いかけ始めたらしい。そのような事は無益だからやめた方が良いと思う。さもないと夢を見ている間に、低開発国に転落するだろう。