「成人病」と癌

放送大学「公衆衛生」第6章成人保健と疾病予防・健康管理

かつて「成人病」と呼ばれていた病気は「生活習慣病」と名を変え、最近は「メタボ」と変えた。
そういう情報は伝わっているが、実際これらの「病気」はいったい何なのか、全く知らなかった。

1.「生活習慣病」という概念
1996年12月公衆衛生審議会「生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について(意見具申)」という名前だけで結構長い「意見具申」の中で、国民が生活習慣の重要性を自覚して自分で努力できることを支援する社会を作るために整備された概念だということだ。

2.三段階の予防
アメリカ公衆衛生学者リーベルとクラークは、予防を3段階に分けて説明した。

・一次予防 発生そのものを予防する
・二次予防 早期発見・早期治療で障害の限局を目指す
・三次予防 疾病に罹患した際の早期社会復帰を目指す

がん検診や健康診査のような第二次予防に偏りがちだったが、これを第一次を重視する必要がある。生活習慣病という概念を人為的につくったのは、その意図があったからではないか。

3.成人期に起こりやすい疾病
(1)悪性新生物・悪性腫瘍(がん、肉腫)
死因第1位()30%。年々増加している。
1960年  93,773人
2005年 325,941人

症状
細胞の自死機構(アポトーシス)から逸脱した増殖と転位・再発が共通している。
相対5年生存率という概念で危険度を判定している(らしい)。

・気管、気管支
・胃
・肝細胞、肝内胆管
・大腸(結腸、直腸S字結腸移行部・直腸)
・乳房
・子宮
前立腺
・その他
膀胱がんは比較的生存率が高く、膵がん、胆道がん、食道がんは低い。

(2)心疾患
60代から上昇、75以降には急激に増加する。加齢が要因。
先天性心疾患
後天性心疾患
慢性リウマチ、急性心筋梗塞、その他の虚血性心疾患、慢性非リウマチ性心内膜疾患、心筋症、不整脈および伝導障害、心不全、その他の心疾患

虚血性心疾患は日本は少ない。
心筋自体を栄養する冠状動脈の硬化が問題。

(3)脳血管疾患
(4)糖尿病
代謝をつかさどるインスリン分泌に問題が起きることで起きる「代謝性異常」のこと。

?型 インスリン分泌
?型 インスリン感受性低下

(5)自殺とこころの健康
自殺死亡者が2007年33,093人(男23,478人、女性9,615人)
国際的比較では、中高年が多い。30代から50代は経済、生活問題、60代以降は健康問題が多い。

(6)難病
45疾患に公費が認定されている。パーキンソン、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎など。

(7)歯科
80歳で20本の歯を残す「8020運動」が提唱されている。