国際人

私が中高生の頃、「国際人」と言うのがなんだかカッコいいもののように思われていた。バブルの絶頂期、恥ずかしい日本の勘違いの時代の頃のことである。

当時の国際人とは海外の知識が豊富で、イタリア料理などを食べたりし、英語がぺらぺらだったりする人のことであった。今だったら馬鹿みたいな話だが、当時はこれが受けていた。

無論私もそう信じ込み、中国へ留学するときは国際人である事をアピールできるよう、一生懸命中国の事を勉強した。

しかし、実際に現地で中国の人と会話をするときには、彼らは日本のことを私から聞きたがるのだ。考えてみればわざわざ日本人から自分の国の事を聞こうと思う馬鹿はいまい。私は日本のことをあまり重視せず、日頃から良く勉強せずにいたため、質問されて本当に困った。日本人と話したがる中国人とは、日本の事を結構良く知っているので質問のレベルも高いのだ。

「日本は四季がはっきりしていると聞く。雑誌で蛍を見たが、あれは何月くらいに出るんだ」
「夏の日本料理で美味しいものは何か」
「長野県の平均気温は何度くらいなんだ」

こんな質問をされ照れては、「すみませんでした。よく知らないんです」と答える毎日だった。

とはいえ、帰国してもろくに日本の事を勉強しようともせず、相変わらず反省の無い私である。