歴史的遺産が何故保全されないのか

schwartz00002006-08-30

今月、下諏訪町から大きな遺産が失われた。
下諏訪倉庫は、産業史的な価値が認められながらも、維持保存の多額のコストが主な要因で、今月取り壊しとなった。これまで無理して保存してきた下諏訪倉庫社長さんはじめ、社員の皆さんに一住民として感謝したいとおもう。

取り壊しは惜しいが、そのこと自体を嘆いても仕方がない。
問題は、何故これが保全されなかったか、今後このような問題が浮上した際にどのようにすべきかをよく検討しておかなければ行けないにも関わらず、その手の話し合いが一切なされていないことである。

バブルから失われた10年にかけて、下諏訪町は数十億もの借金を背負っている。原因はあいつぐ箱物の新築による物である。そして、その管理コストは今も町の財政を圧迫し続けている。

今になってみれば、何故その時の資金が、こうした建物の保全に使われなかったのか、ということを多くの人が疑問に思う。しかし、疑問に思っただけで誰も前へは進もうとしない。
問題なのは、当時の町長や行政を批判するばかりで、何故そのような意思決定がなされ、どのような資産や考え方が足りなかったのかということを考えようともしない、この町の全体を覆う気風のようなものである。


このことに気づかない限り、今後も諏訪地方の歴史的建造物は失われていくのだろう。