中華料理に詳しい人ならご存知かと思うが、中国で「餃子」といえば水餃子である。中国語で「水餃」(シュイジャオ)と言う。
日本の焼き餃子は「鍋貼」(グォティェ)と言い、餃子でも通じるがちょっと違っている。焼きそばを指して「麺」と言ったら、たぶん日本人でも「?」と思うのではないか。そんなニュアンスの違いがある。

留学中に、先生のご家庭に学生が何人か招かれて水餃子をごちそうになる機会があった。先生が皮を作り、奥様が具を作り、我々は皮作りと包む所を体験させてもらった。みんなでわいわいやっているとこれは結構楽しい。手の不器用な私が作った餃子は全て湯の中で崩壊したが、気にしてはいけない。気にすると大きな人物になれない。

あまりの楽しさに作りすぎてしまった。とても食いきれないが、食いきれないだけの料理を出すのが中国流の歓待法。「食べ過ぎて死にそう」という中国語があるくらいだ。酒を死ぬほど飲ませるか、料理を死ぬほど食べさせるかすることが、主人の礼儀なのだそうだ。

19世紀から20世紀の100年間このかた、中国ほど食に苦労した民族はアジアに無いのではないか。水餃子の山を食いながら中国の歴史を感じた・・・様な気もしないでも無い。