今日は私の留学した上海のイメージをつかんでいただきたい。

上海は長江を遡り、その支流黄浦江という川の流域に位置している。写真は黄浦江の東側にある、今上海で一番発展している「浦東地区」。

妙なかたちユニークな形のテレビ塔が立ち、世界第4位の高層ビル群が立ち並んでいる。
この風景は、昨今中国紹介のテレビで盛んに流されているのでご存知の方も多いだろう。

しかし、一つ言わせてほしい。
私が留学のため、上海港に着いた(金がないので大阪から船で行った3日かかった。←この話はまたいずれ)時には、浦東地区にはテレビ塔がデキかけているだけで、あとは何にもなかった。あのビルも、このビルも、高速道路っぽい道路も。橋はようやく1本架かったかどうかというところだった。

それが、1年して帰るとき(金がないので香港へ舟で行った3日かかった。←この話もまたいずれ)には、この写真に写っているようなイメージでビルが立ち並び、地下鉄が通って、車が高速道路をビュンビュン走っていた。
中国の発展の速さと力強さに、非常に感動した。まさに21世紀は中国の世紀。イラクに爆弾落としているヒマなアメリカなんか目じゃ無い。ああ、グレイトなチャイナ!!

・・・・と、言いたいところだが

・・・・ちょっと待て。

1年でそんなに沢山ビルがたち、道路ができ・・・って、大丈夫なのか?
絶対手抜き工事だと思う。実際、この異常なスピードを見た留学生の多くはあと10年位したらビルが傾くんじゃないか?という疑いを等しく持ったようであった。

理由は、当時の中国社会の「適当さ」にある。
わかりやすいエピソードを一つ紹介しよう。

 あるところで、6階建て位のビルを建設した。金ぴかで、御影石みたいな石をふんだんに使ったロビーと、モダンなガラス張りのオフィスが目を引いた。中国にも、いよいよこういうビジネスビルができたか、と感心し、ある時見学に行ってみた。

6階建てのビルなので、当然エレベーターがついている。ロビーに入ってエレベーターのボタンを押してみると・・・何故か動かない。押す所が違うのか?いや、そんなはずは無い。中国に長くいてエレベーターの乗り方を忘れたとか・・・などなど、思いあぐねていると後ろの方でバタバタと人が大勢出入りしているドアがある。

近づいてみると、非常階段のようだ。ビルで働いている人と思しき中国人民のみなさんが、みんな一生懸命上がったり下がったりしている

「なんでエレベーターを用いないのか?」と手近な人に聞いた所
「ああ、あれ?こわれたんだよ。何回も急に止まってね。もう1週間ずっと動かない。」
「どうして?このビルは出来たばっかりではなかったっけ?」

・・・などなど、素朴な疑問を投げかけて国際交流をしていると、後ろの方で「どたどたどた!!!」というまるで人が階段から転げ落ちるような音がした。びっくりして振り返ってみると、若い女の子が血まみれになって転がっている。おっ。結構かわいい。ってか、かなりかわいい。チャンスだ(違)。

などなどを瞬間的にこういうときだけは回転の速い頭の中で考えながら、「大丈夫?」と言いながら、あわてて(若干の下心を隠しながら)階段を登り、近づいてみると・・・

とたんに地面が急になくなるような感覚。一瞬後、体が宙に浮いた
「うわあぁぁぁぁぁぁ!」ドタドタドタドタッ。(←階段を転落する音)。・・・・ピクピク。
一瞬の後、私も階段から落ちたことに気づいた。

女の子に気を取られたのかといえば、そうではない。何故だ?何故こけたんだろう・・・・。
ふと階段に目をやると、何かがおかしい。目の錯覚だろうか。1段ずつの段差の大きさが、全部違っている。

何故に!どうして!!どういう意味があるんだよ!!!こけている間に、女の子はいってしまったじゃないか!(←怒りの論点が違ってますが、まあそれはそれとして。)

要は、施工ミスで、階段の高さがバラバラになっていたのだ。日本だったらありえないが、この頃の中国では当たり前のように発生していたのだ。ただでさえいい加減な施工なのに、突貫工事であることも手伝って、この時期は他にも、トイレの配管を付け忘れたとか、ちょっとありえないようなミスが多発していた。

そんな中で作られた浦東地区。本当に大丈夫だろうか。
私はテレビを見るたびに思い出す。