中国旅行記香格里拉にて

朝シャワーを浴びようとしたが、お湯の出が悪いので諦める。
同行者と待ち合わせて朝食。朝食は宿の人が作ってくれた手製の饅頭。饅頭の作りたては本当にうまい。日本でどこかで食べさせてくれないかな。ほかには中国式に粥をいただいた。
バス乗り場を宿で聞いたが、聞いている私がそもそも市街地に不案内なのでよくわからない。地図で見て概ねの方角に行くと出勤途中の女性が足を止めて道を教えてくれた。何と親切な方だろう。
バスに乗って松賛林寺へ。途中でシャトルバスに乗り換え、思ったより順調に着いた。
チベットポタラ宮の小型版」とのこと。ここではシャトルバス、入場料などきちんとお金を取るシステムが確立している。多分世界遺産の各地を視察して整理したんじゃないかな。これなら今後の維持保存もなんとかなるだろう。中国のどうか日本の失敗の轍を踏まないでいただきたい。
 寺の階段を上るのに息が切れる。そういえばここは3300mだということを忘れていた。お坊さんを見ると階段を斜めに上っている。「斜め登り」を早速真似をすることにした。
東南アジア旅行で経験したことだが、寺の規模、伽藍や仏具は大きく違う。参拝方法も違う。しかし、同じ仏教であるということがどこか安心させる。ただ、清掃が行き届かないのはお国柄か、コストや人手の問題か。日本だったら塵一つ無い寺も、中国では鷹揚だった。
 市街地に戻るバスを途中下車し、明後日の麗江行きバスの切符について、バスターミナルで聞く。麗江までひとり69元だそうだ。当日来ても空いているから買えるだろうとのこと。随分安く上がることがわかり、一安心する。

市街地まで街中を歩いて帰ることにした。
昼食はターミナル近くの食堂。同行者のお二人とは、この辺りの趣味が合うので嬉しい。15元のチャーハンが美味しい。アベノミクスのおかげで1元=20円になってしまっているが、それでも300円だ。20年前、留学生宿舎近くの韓国料理屋で「5元」のビビンバを「贅沢品」と思って食べていた時代をちらっと思い出した。庶民の物価が恐ろしく上がった。給料もそれに見合った上昇だったのだろうか。
市街地に戻り、同行者(奥様)の助言に従って帽子(カウボーイハット)を購入する。香格里拉は高地だけあって紫外線が強烈だ。うまい方法を考えたが、現地の人のまねをするのがいいだろうと考えたのだ。20元でなかなか青いおしゃれな帽子が買えた。
ご夫婦についてスーパーや市場を見物に行く。毎回旅行では地元のスーパーを見に行くことにしている。物価や人の生活の様子は、食品を見るのが一番いいと思う。家電売り場に「飲水設備」という機械が売っていた。飲料水を作る機械だ。水質に問題があるのだろうか。それとも、湧かした水以外を飲む需要が中国にも生まれたのだろうか。

明日の予定である峡谷行きの交通機関を探る。車を1台チャーターすると往復だけで200元はするらしい。地球の歩き方にあったバスチケット屋を探す。微妙に地図と場所が違っていたが、どうにか見つかる。往復50元、入場料120元、シャトルバス60元でガイド料込み。専属ガイドが付いてこのお値段は安いのではと思うが、チャーターの方が便利だろうし二人の女の子の意向も気になる。一旦宿に戻りチベット人の運転手さんに相談してみることにする。

宿に戻ると、ちょうど二人が湿原から帰ってきたところだった。
氷の上で写真を撮ったとスマホを見せてくれた(危ないってば)。ただ、成都で育った彼女たちにはとても新鮮だったらしい。山国出身の長野県民には「いつもの光景」だったが。
早速相談を持ちかける。同行者ご主人のご意見で、宿の人に運転手さんと話したいと意向を伝えたところ、すぐに呼んでくれた。相談内容は以下の通り。
(1)麗江に行きたい。2人の女の子も一緒に行くとしたら、いくらで行ってくれるか。
(2)峡谷までチャーターしたらいくらか。
2つの商談を持ちかけたが、残念ながらどちらも不成立だった。麗江まで行けば帰りを空で帰ってこなければいけなくなる。片道4時間だから、その損失分は取らないと商売にならないとのことだった。
呼び出したのにすまなかったと謝ると「いいよいいよ」と言ってくれた。商談が出来ただけ良かった、と言ってくれたがホントごめんなさい。彼らは兄弟で運転手をやっているらしい。
 その日は大亀山公園の小高い丘に登り市街を見渡し、公園に設置されている大きなマニ車を回す・・・というのが計画であった。公園の丘に登るわずかな階段でも息が切れ、ここが富士山8合目並の標高だったことを再び思い出す。昼間寺院で学んだ「斜め登り」を早速試してみる。
 公園の巨大マニ車は、とても重かった。同行者のご主人と二人で(空気が薄いのに)動かそうとしても駄目だった。うんうんうなっていると、通りかかった韓国人旅行者のみなさんがワラワラあつまってきてくれて、手伝ってくれた。日韓協力して何とか回り出した。このモニュメント、なかなか面白いな。
市街地にあった白塔が印象的だった。日本の仏教関係の建物とは随分形が違う。違う文化圏から日本の仏教寺院を見たときに、どんな風に見えるのだろう。例えばチベット族やタイ人のような方々にはどう見えているのだろう。
 丘を下って夕飯を食べるレストランを探す。鍋ばかりでは飽きるだろう、との奥様のご提案で火鍋以外を探す。ところが「火鍋」以外のお店が少ないことに気がついた。なんとか探し当て、美味しい夕飯をいただいた。