若さと言うこと

週末にJICA主催の国際交流イベントに参加してきた。

第2回信州国際塾「国際協力セミナー〜高校生からの招待状」
http://www.jica.go.jp/komagane/event/2014/ku57pq00000dg1ay.html

セミナーの概要は、前半JICAプログラムでフィリピンとベトナムに派遣された高校生たちのプレゼン、後半はグループセッションという流れだった。JICAのイベントはいつも良く作り込まれ、濃密な時間を過ごすことが出来るが、今回もその一つだった。

それについての感想は書くと長くなるので今回は省略する。忘れないうちに書き留めておきたいことがあるからだ。

前半の高校生のプレゼンの際に、会場から意見があった。その中の1つが「経験したことを忘れないで欲しい」というものがあった。

私たち大人はしばしばこんな言葉を口にする。それは期待を込めた言葉であり、幾分羨望も混じっているように私は思う。私自身、加齢と共に失われた時間に思いを致すとき、同じ言葉をつい口にしてしまう。また、年々過酷になっていく日本社会の現状から彼らの未来を思うとき、何かひとつでも持たせてあげたいとも思う。

しかし、それは本当にそうなんだろうか。

冷静に考えれば、その経験がその高校生にとって重要になるかどうかは、後に決まることだ。その経験に縛られてしまうことが良いかどうかは解らない。新しい経験や知識の吸収を阻害することもあるからだ。若者の未来を縛ることにならないか。私たちのエゴではないだろうか。いつも私自身この言葉を口にしたときに、くよくよと悩んでしまう。考えすぎだろうか。

だからいつもこうも思うのだ。

そんな経験、すっかり忘れちゃったって構わないんじゃないのか。

特に今回は、派遣プログラムはきちんと作り込まれたものだ、何より自分の体で経験してきたことなのだから、そのときは忘れてしまっても、きっと心の底に深く根を下ろしていると思う。ある時気づいたら、自分の背中を押しているかもしれない。

JICAのプログラムはすばらしい。今回のプレゼンで聞いたものは特に。俺も高校の頃に、経験したかったと思う。

しかし、たとえそうであったとしても、それにこだわらずにいてほしい。好きなことや、やるべき事を一生懸命やってほしいと思う。いや、そう思うこと自体も私のエゴかもしれない。けれど、少なくも自分のことを振り返ってみれば、そうして自分でケガをしながら経験してきたことだけが、今、俺の背中を押していると思うから。

もっとも、心配しなくても若者がそんなことで簡単に縛られたりはしないのかもしれない。俺もいろいろな大人の心配や意図に囲まれて育ったが、あまり期待通りになった気がしないからな(苦笑)。