民主党批判について

民主党への批判が激しい。
戦後初めての本格政権交代。交代して1年の民主党を、マスコミが総がかりで叩いているような印象を受ける。それに煽られてネット上にも民主党民主党議員を批判、中傷する意見が多く見られる。ほとんどは根拠のない物や、結果論で叩いている。

では、自民党に戻せばいいのだろうか?

断っておくが、別に民主党に特別な思い入れがあるわけではない。
しかし、民主党は、野党時代から「シャドーキャビネット」などと、(そのネーミングは少し痛い気もするが)政権交代を目指す野党として活動してきた政党である。

そういう政党をこうも簡単につぶしてしまっていいものだろうか。

仙石長官の語彙が左翼活動の影響を受けるのは仕方ないことだ。誰だって若いころのくせは残っているものだ。
尖閣諸島のビデオは公開すべきだったかもしれない。しかし、後悔しない方が外交上有利なことが全くないと何故言いきれるのか。
急拡大した政党なので、政治家としての自覚や教育の行き届かない所もあるだろう。だが、それは自民党だって同じだったではないか。
Twitterで「民主党になったら自分の会社の業績が悪化した」というレスをもらったことがある。それは責任転嫁というものだろう。

貿易政策についてなら、自民党時代から問題があった。お隣の韓国がFTAで次々と市場を拡大しているにもかかわらず、何もしていない。自民党は農業者層の支持なくして成り立たない、というのは、おそらく過去の話だろう。にもかかわらず、思い切った貿易自由化を図ってこなかった。
兵器輸出についての規制も放置してきた。おかげで次期主力戦闘機の開発に関わることができず、足元を見られて値をつりあげられている始末だ。
年金の記録問題もそうだ。官僚のずさんさもあるだろうが、政治の監視の甘さが招いたのではないか?
高速1000円、定額給付金雇用調整助成金と、政権末期の自民党は(選挙の直前に)巨額の「景気対策」を行った。その公債費が重くのしかかっているが、その政策評価はしなくていいのか。費用対効果上どうだったのか?
エコポイントは、2年以上需要を先食いしてしまったのだそうだ。これから日本はどうすればいいのだろう。
増え続ける医療費を支える現役世代と、高齢世代との共存を図るために作った後期高齢者医療制度民主党は否定しているが、自民党だってのっけから腰が引けていたじゃないか。いきなり8000億も血税を投入して保険料を軽減したので、本当にびっくりした。数年間しか効かない軽減策もあった。高齢者を騙して若者と共存できると思ったのだろうか?

確かに政権運営は頼りない。しかし、それは政権交代時に覚悟すべきことではなかったのか。それとも、そんな覚悟すらできない国民に、日本人はなり果ててしまったのだろうか。
戦後、自民党が長く独占してきたことと、そのことは何か関係ないのだろうか。

まさか自民党に戻せば高度経済成長が帰ってくるなどと思ってはいないだろうな。

先日NHKの夜のニュースで「エコポイントなどの景気刺激策は、その政策が生きているうちに抜本的な政策を打ち出すまでの過渡的なもの。その政策が無いのでは・・・」と民主党をこき下ろしていたが、じゃあ、具体的な政策ってなんだよ。文句があるなら何か提言してみればいい。そもそも、NHKは日本に特効薬があると本気で思っているのだろうか?
自民党の失策を正当に評価せず、民主党に責任転嫁することは、民主党にとってだけでなく自民党にとっても悪いことではないか。政権から転落し、権威と権力を失って初めて根本的な評価がされるものだ。それがされないとしたら、自民党は野党としても、将来の与党としても成長しないだろう。そのための政権交代じゃないのか。

民主党が答えかどうかはわからない。
だが、日本は与党を変えなければいけなかった。

目下の・・・というか、そもそもの問題は、民主党政権運営よりも、政権交代が遅すぎたことではないか、と私は思っている。
政権交代」の意義すら理解されないのだから。