- 作者: 徳丸吉彦,青山昌文
- 出版社/メーカー: 放送大学教育振興会
- 発売日: 2006/05
- メディア: 単行本
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ファッション系の専門学校や大学などに学んだ方には、常識なのだろうが、私は「モード」というものがどういう物か分からなかった。同テキストの中に少し触れてあったのでまとめてみた。
現在は、過去と未来を分ける分水嶺。それを際立たせるものをモード(流行)と言う。
流行の風を受けないものは無い。資本主義社会が始まる前には、祭やカーニバルがこの役割を果たしていた。「ハレ」と「ケ」を明確にすることで、日ごろのタブーを破る秩序の集団的反転と言え、流行に似たもの。これを社会がシステマティックにはじめたのが「モード」。
現代は、あらゆる商品が品質の差異がなくなったシンボルとして購入され、消費される。CMでは機能の説明より、イメージを作ることが重視される。機能的価値を競うのではなく、欲望をどう掻き立てるのかが価値の中心となり、欲望の対象である物を生産するより、欲望そのものを生産することが重要となる。
機能から遊離したところに商品の価値を決定する因子を「モード」と言う。モードは知らないうちに他人と同じ感覚で世界に接し、自分を感じているような雰囲気に包む。誰かの恣意を感じさせてはならず、必然性を感じさせるものでなくてはならない。
資本主義のあだ花と言われることもある。前衛ファッションは常に最先端であることを宿命付けられている。
現代において、味わいや快楽は深まる暇も無い。そうした欲望のたえざる後退の中で、近年欲望そのものが萎えていく傾向がある。 モードは閉塞し、それは高度消費社会の閉塞を表している。その先に何があるのだろうか。