卒業生へ

 人の生は夢と同じだ。主観的現実とも言える。うがった言い方をするようだが、世界は広いけれど所詮私が知り得たものが私にとっての世界の全てだ。
私たちの主観的現実は芝居と同じだ。All the world's a stage,目の前で出演者たちが、様々な役割を演じる。もちろん、他人の主観の中においては、自分もまた出演者だろう(と、主観的に思う)。

たぶんそれは、即興劇(improvisation・インプロ)かもしれない。他の出演者、脚本家、スタッフたちの思惑が交錯する舞台。その上で、私は「私」を演じ続ける。津川雅彦によると、俳優はスタッフの力を集約する才能なのだそうだ。ローマの休日「真実の口」のように、たちの悪い仕組まれたシーンもあるだろう。 敵役とはうまく立ち回らなければいけない。

このままでいいのか、悪いのか。それが問題だ。このまま耐えるのか、戦うのか。それは自分で決めなければいけない。

思いもかけない人に出会い、変化を強いられる「私」という「主役」。眠りが訪れるまで、役を降りることは赦されない。

最後まで役割を演じ続ける事。
私達にできる事はそれしかないと思うが、どうだろう。

以上出展:シェイクスピア「The Tempest テンペスト」「As you like it おきにめすまま」「Hamlet ハムレット」をもとに、適当に書いた。

日本はろくでもない世の中になりつつある。
前は海外へ出ればリセットもできたが、今はそれも確かではない。
行き場のない時代。私達はどこへも行かない。

せめて、あなたがたの行く道が光に照らされている事を祈ります。