羊をさがしにいく

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

羊が体から出て行ってしまうと、思念だけが体にとどまり、それを表現できなくなるのだそうだ。

まるで今の日本だ。自分たちの可能性だけを信じているが、成長への手段はすでに失われている。

そういえば、そんな人がどこかにいたことに気づいた。自分自身じゃないか。
日本ほどソフィストケートされていないし、エネルギーもない。可能性も最初からなかった。

そう考えると、私が日本を批判するのはおこがましいかもしれない、とふと思った。

失われた言葉、失われた可能性、勤勉さ、そして命そのもの。
ずいぶん長い余生を私は生きている。