夏休みの思い出

子どもの頃を思い出す。

アスファルトの上に出来た
日なたと陰の境目を踏みながら

巨大な白熱灯のような太陽と
青草と虫の声
土の匂いと、ひぐらしと、
気の早い秋の虫が鳴く

プールで濡れた髪の毛と
口の中に残る塩素の味
体は冷え切っているのに
午後の日差しが
じりじりと照りつける

照りつける陽が
腕の表面を焼き
首の後ろを焼き
アスファルトを焼き

未来も過去も空虚だった
夏の日差しの下で空虚だった