変なマスコミ報道

時々、福祉の専門家には資金についての知識が無知な人がいる。
その見本みたいな記事を見つけてしまった。
http://www.nikkei.co.jp/neteye5/asakawa/20070921n8a9l000_21.html

この人は、一生懸命取材して色々面白い記事を書いているが、この回はどうなのだろう、ちょっと福祉事業者の実態からかけ離れてはいないか。

記事はコムスンについてだ。

コムスンは福祉を大規模ビジネスとして考えた最初の会社である。
それだけに、財源に苦しむ福祉事業者には一定の期待を持たれたが国はコムスン国策捜査で破綻させた。理由は「福祉で金儲けなんてけしからん」という大衆世論に迎合したためだといわれている。

読売やアサヒ、スポーツ紙などのイエローペーパーは、コムスンの社長の人格を中傷し、手続きの不備を大げさに並べ立て、「犯罪」であると決め付けるかのような報道をしたことは記憶に新しいところだ。

ちなみに、福祉の専門誌はコムスンの失敗に同情的なものも多い。この執筆者も、コムスン同情派のように見える。

ところが、文中でコムスン処理に対する地域の社会福祉法人を批判している。これがどうも論理が破綻している。

コムスン亡き後、全国各地で投げ出された利用者を地域の社会福祉法人に引き受けさせようと国は考え、地域の社会福祉法人に引き受けを要請した。
しかし、多くの社会福祉法人は財政難を理由にこれを断った。介護保険制度の不備でどこも資金的に厳しいからである。

ところが、コレがこの記者の気に障ったらしい。

記者の言い分としては「社会福祉法人は非営利で補助金を受けているのだから、財政難などは理由にならない。引き受けるべきだ」


非営利ならば、どこかからか金が沸いて出ると思っているか?
同じ文章中で地域の福祉団体の未成熟を指摘し、一方でビジネス化を企図したコムスンの試みに一定の評価しておき、一方で資金難に陥っている社会福祉法人を「金儲け主義」と罵倒するのは自身の理屈にあわない。
社会福祉法人に色々問題があるのは文中の指摘の通り。だからといって言いがかりをつけていいわけではない。福祉=金儲け否定ではない、とこの記者も思っているのではないか。だとしたら、地域の社会福祉法人の立場だって理解できるだろうに。