このまちの春

太宰治の「春」に、雪解けと同時に花が咲き始める春は、まるで北国のようだと言うようなことが書かれていたと記憶している。このまちの春も、そう言えば同様だ。梅が咲くのはついこの前路傍の雪が解けたばかりの時であるし、桜が咲くのはすぐそのあとだ。気象がうまくいかないと、梅の散りかけと桜の開花が同時のこともある。

確かに、東京の春はもう少しゆっくりであったと思う。
4月の山手線沿い、巣鴨駅付近の桜が咲くのは、うららかな3月がゆっくりと過ぎて4月に入ってすぐだったと思う。

立春が過ぎてもこのまちはまだ、雪と氷の中だ。